会 長 談 話
2022年(令和4年)3月1日
広島弁護士会 会長 池 上 忍
2022年(令和4年)2月24日、ロシア連邦がウクライナに侵攻し、本日までの間に、既に、子どもや民間人を含む多数の死傷者が生まれていると報道されています。プーチン大統領は、核兵器による威嚇、及びその使用の可能性についても言及しており、被爆地である広島の弁護士会として、到底容認できる言動ではありません。ロシア連邦による侵攻及び核兵器による威嚇は、いずれも、国連憲章及びジュネーブ条約をはじめとする国際法に明確に違反するものです。
いかなる理由があっても、紛争解決の手段として、戦争を選択してはいけません。ウクライナの人々は、ある日突然、命を、住居を、仕事を、生活を奪われ、ある人は隣国に避難し、ある人は防空壕や地下室に逃げ、ある人は武器を持って応戦しています。爆弾の音で目が覚め、怯える子どもたちの心が深く傷ついていることは言うに及びません。
我々人類は、過去に繰り返された世界大戦で、たくさんの人の命を失いました。戦争のむごさ、悲惨さは、十二分に知っているはずです。残された人、あるいは、誰かの命を奪ってしまった人の心には、今も苦しみ、悲しみが残り、消えることはありません。戦争による被害が甚大で、取り返しがつかないものであることを、我々は、忘れていませんし、決して忘れてはいけません。
とりわけ核兵器は、一瞬で、何万人もの命を奪うだけでなく、その後何十年も、放射線による影響が残ります。広島や長崎では、未だ被爆後の後遺症に苦しんでいる人がたくさんいます。
私たちは、被爆地広島の弁護士会として、また、平和的生存権を謳う日本国憲法の理念に基づき、今回のロシア連邦によるウクライナに対する軍事侵攻に対して強く反対します。そして、日本政府をはじめ、世界各国が協力して、平和的解決の早期実現のために努力を続けることを求めます。
以上
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