Monday, February 14, 2022

古墳調査第一人者 「伴林光平」伝記、現代に - 読売新聞

 幕末の国学者・歌人で、河内や大和の天皇陵を調査した 伴林光平ともばやしみつひら (1813~64年)について書かれた伝記小説「伴林光平」が、現代版として80年ぶりに再版された。出版を記念して光平の命日の16日、名前の由来になった藤井寺市の 伴林氏ともばやしのうじの 神社と、同市にある生家の尊光寺で各先着30人に贈られる。現代の古墳保護の礎を築いた光平に、改めて光を当てる取り組みだ。(吉田誠一)

 光平は尊光寺に「鈴木信丸」として生まれ、京都・西本願寺などで修行後、全国を巡って和歌や国学を学んだ。歌人・大伴家持の祖神をまつった地元の同神社の名にちなみ、「伴林六郎光平」と改名した。各地で天皇陵を調べては荒廃ぶりを嘆き、当時の古墳の状況を伝える貴重な史料を残した。晩年は尊皇 攘夷じょうい を掲げる 天誅てんちゅう 組に記録係として参加し、斬首された。

 光平については、読売新聞記者を務めた小説家の 上司小剣かみつかさしょうけん が1942年に伝記小説を書き、第5回菊池寛賞を受賞。小剣の父が光平に和歌などを教わり、子どもの頃から人となりを聞かされていたのが執筆動機だったという。

 「古墳調査の第一人者だった郷土の偉人をもっと知ってほしい」。柏原市在住で、百舌鳥・古市古墳群の観光活用に取り組んでいる中村宏さん(85)が、この本に着目。絶版されていたため、専門家の協力も得て現代語に直した。光平の顔つきから「どんぐり の大入道」との副題を付け、現代版(A5判、187ページ、税込み1320円)として自費出版した。

 中村さんは「光平の調査後、各地の古墳は少しずつ整備され、現代の世界文化遺産の古墳群につながった」と先人の遺業をたたえる。現代版は藤井寺市内にある「伴林光平先生顕彰館(天忠組記念館)」(090・5010・3995)で購入できる。

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