Monday, February 7, 2022

旧国立駅舎で結婚式を イベント団体が初開催 「街の良さ知る機会に」 - 読売新聞

 「旧国立駅舎」で挙式しませんか――。国立市で活動するイベント団体が、結婚式を地域活性化につなげる取り組みを始めた。1月には、モデルケースとなる挙式を実施。団体は「にぎわい創出に加え、各地からの来場者に街の良さを知ってもらう機会にもなる」と意気込んでいる。(柳沼晃太朗)

 ハート形の花飾りの前で新郎新婦が指輪をはめた左手を掲げると、約30人の参列者から拍手がわき起こった。1月22日に旧国立駅舎で行われた挙式。出入り口には、色とりどりの花飾りが置かれ、普段は催しの案内を表示している電子看板には、夫婦のツーショット写真が映し出された。窓の外からは、通行人も興味深そうに式の様子を見守り、手をたたいて祝福していた。

 企画したのは、人生の門出に合わせた記念イベントの企画や写真撮影を手がける「街kadode実行委員会」。白色を基調とした内壁や多くの窓から光が差し込む広間はチャペルに似た雰囲気で、国立を象徴する場所で結婚式ができれば思い出に残る“式場”になると考えた。

 同会は昨春から駅舎側と結婚式開催の可否について検討を重ねた。市の条例では、非営利目的で、街の魅力向上につながると市が判断すれば、駅舎を無料で使用できるとする。ただ、昨年だけで写真展やチャリティーなど90件のイベントが開かれ、週末は駅舎周辺の人通りも多いため、混乱なく開催できるかは未知数だった。

 そこで、コロナ禍で結婚式を延期していた同会代表の高野宏さん(32)と妻・早紀さん(31)の式をモデルケースとして開催することに。一橋大の合唱部で出会った2人にとっても、国立は縁が深い場所だった。

 会場設営や写真撮影は同会が自前で行った。さらに市は「駅舎の新たな活用方法を示し、公共性がある」とし、使用料は無料とした。衣装代や会場の花代を含めても、全体費用は当初予定した結婚式の半分程度に抑えることができたという。

 当日は混雑が発生しないよう、こまめに同会のメンバーが駅舎周辺を見守り、式は指輪交換や友人あいさつなど約30分で終了した。式に参列した早紀さんの友人の中島弥春さん(31)は「普通の式場とは違う雰囲気だけど、温かい気持ちになれた」と笑った。

 同会は、駅舎での挙式を希望するカップルを募集している。衣装や花の用意は市内の業者に依頼することで、地元経済の活性化につなげる考えもある。営利目的の事業と判断されても、午前9時~午後10時の広間の使用料は、最大でも1万9000円。一般の式場よりも費用を抑えられる見込みだ。

 高野さんは「地域に開かれた結婚式のお手伝いをして、国立の魅力を再認識してもらう機会にもしたい」と話す。結婚式などの相談は、メール(machi.kadode@gmail.com)で受け付けている。

旧国立駅舎 1926年に建設され、「赤い三角屋根の駅舎」として市民に親しまれた。JR中央線の高架化で2006年に解体されたが、部材を保管していた国立市が駅舎を復元し、20年に国立駅南口に情報発信施設として開業した。

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