コロナ禍、結婚式のキャンセルによって、式場と新郎新婦との間にトラブルが頻発し、世間的にも問題となりました。コロナ禍で予定していた結婚式をキャンセルした場合、キャンセル料は支払うべきなのでしょうか。家事裁判を得意としている水谷江利氏が、昨年改定された「挙式・披露宴会場におけるモデル約款」をもとに解説していきます。
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コロナ禍での結婚式キャンセル問題
昨年の秋以降、一旦は収束したかにみえたコロナ禍も、オミクロン株の大流行、蔓延防止措置適用で再燃しています。早急に落ち着くことを切に願いますが、今この時期に、挙式を予定されていた方はキャンセルするかどうかで頭を悩ませています。
コロナ禍での結婚式キャンセル問題は時事問題にもなり、弊所でも複数の相談、依頼を受けています。そんななか、新たな業界標準が改定されました。
「結婚式キャンセル時」の業界標準が改定
コロナ禍でのキャンセル事態を受け、ブライダル事業者で構成される公益社団法人日本ブライダル文化振興協会は、業界標準としての「挙式・披露宴会場におけるモデル約款」を昨年10月末に改定しています。これは、感染症流行時のキャンセル料をめぐる顧客との紛争を未然に防止する観点から設定されたものです。
内容は、コロナ禍を受け以下の2点に注目されています。
①キャンセル料について見積り額に対するパーセンテージ指標が設けられたこと(開催150日前を超えたら20%、60日前を超えたら35%)など(6条)
②「自然災害の発生、指定感染症等の流行、その他不測の事態の特則」を設けられた
①は消費者契約法上の平均的損害の概念を取り入れたものです。しかしながら、実は、必ずしも消費者保護を旨とするものではありません。
②は感染症流行時で開催が危ぶまれる場合であっても、これを「不可抗力」としてキャンセル料ゼロ、とするのではなく「一定の期間内に開催日を変更しなければならない」としたものです。
日程変更しないで解約する場合には、減額したキャンセル料を支払うものと定められ、この「減額」度合いは明確には決められませんでした(特則2条)。
結婚式は単なるイベントではないはず
このように、改訂約款は、キャンセル料をめぐる紛争を一定程度防止する効果はあるかもしれませんが、消費者保護法の発想を徹底したものとは異なります。
結婚式は、単なるイベントとは異なり、二人の法的な婚姻から一定の時期に執り行ってこそ意味があるものでもあります。
長引くコロナ禍でやむを得ない側面はありますが、日程変更によらなければならず、それ以外はキャンセル料、となるのは、これから人生を始める二人には悩ましいところかもしれません。
水谷江利
世田谷用賀法律事務所弁護士
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