Saturday, February 12, 2022

やりたい結婚式、かなえます とことん向きあうプランナーの思い - 朝日新聞デジタル

茶井祐輝

 【大阪】「いつもの週末のように過ごしたい」「アートをつくるような式に」。そんな新郎新婦のリクエストも、フリーのウェディングプランナー、菅田貴子さん(42)は、結婚式として実現していく。関西を中心にゲストハウスやキャンプ場などを会場にして、ゼロから結婚式をつくりあげてきた。準備の時間が1年以上ということもざらだ。

 大学生のころ、アルバイトをしていたレストランで配属されたのが、ウェディングプランナーのアシスタントだった。先輩プランナーは、トイレにいく暇がないくらい、忙しく働いていた。そんなに忙しいのに、疲れたそぶりも見せず、生き生きとしていた。「やりがいがある。あなたもなったら」。そう迷いなく他人に勧められる姿勢に憧れた。2001年、そのままアルバイトをしていたレストラン所属のプランナーになり、11年からフリーになった。

 カップルに結婚式のコンセプトを考えてもらう。そのために対話を重ねる。2人の出会いや大切にしていること、どんな結婚生活を送っていきたいか――。コンセプトを決めるのに、半年以上かかることもある。

 決まればそれを、具体化していく。カップルが移り住む場所を友人たちに紹介したいと、滋賀県の電気が通っていない山奥の屋外で式をしたときは、必要電力と発電機の能力を比べたり、晴れ用と雨用の2パターンの式を計画したり。100人規模の招待客がいれば、それだけテーブルもイスも、日よけのテントも準備しないと。「ゼロから式をつくる。考えることがありすぎて、何が大変というか全部大変」。

 コロナ禍が始まった一昨年、式は1件もできなかった。猛威は昨年も続き、「決めた日に式を迎えるのは当たり前じゃない世の中なんだ」と痛感した。感染が落ち着いた隙間を縫うように式をやっても、コロナの影響は色濃い。100人規模の式はほぼなく、多くても40人ほど。新郎新婦の両親が招待客に酒をついで回ることも、2次会もない。

 昨秋からはアートスペース「シーサイドスタジオCASO」(大阪市港区)を中心に式を手がける。16年に自らが結婚式を開いた場所だ。頼み込んで特別に式を開かせてもらったが、かけがえのない思い出になった。売りは、ニューヨーク近代美術館が導入したことで知られる展示空間「ホワイト・キューブ」であること。室内は何の装飾もない真っ白い立方体。「式をアートのようにゼロからつくりあげたい方のお手伝いをこれからもしていきたい」(茶井祐輝)

     ◇

 すがた・たかこ 1980年、兵庫県西宮市生まれ。東京都内のウェディング関連会社を経て、2011年からフリーに。15年には米ニューヨークのウェディング業界でのインターンを経て、大阪や神戸を拠点に結婚式を手がける。5歳の長女の子育てに奮闘中。

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