Sunday, June 12, 2022

進行性卵巣がんに対する維持療法としてのPARP阻害薬ルカパリブ単剤療法、無増悪生存期間を改善 - がん情報サイト「オンコロ」

6月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて切除後のプラチナ系抗がん剤感受性のあるステージIII/IV卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬であるルカパリブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のATHENA–MONO/GOG-3020/ENGOT-ov45(NCT03522246)試験の結果がPiper Cancer Care NetworkのBradley J. Monk氏らにより公表された。

ATHENA–MONO/GOG-3020/ENGOT-ov45試験は、切除後のプラチナ系抗がん剤感受性のあるステージIII/IV卵巣がん患者に対する維持療法として1日2回ルカパリブ600mg単剤療法を投与する群(N=427人)、もしくはプラセボ療法を投与する群(N=111人)に4対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設ランダム化プラセボ対照の第3相試験である。

本試験の結果、相同組換え修復欠損(HRD)群(ルカパリブ群185人、プラセボ群49人)における無増悪生存期間(PFS)中央値は、ルカパリブ単剤群の28.7ヶ月(95%信頼区間:23.0ヶ月-未到達)に対してプラセボ群で11.3ヶ月(95%信頼区間:9.1-22.1ヶ月)と、プラセボ群に比べてルカパリブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを53%減少(HR:0.47、95%信頼区間:0.31-0.72、P=0.0004)した。

また、全患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、ルカパリブ単剤群の20.2ヶ月(95%信頼区間:15.2-24.7ヶ月)に対してプラセボ群で9.2ヶ月(95%信頼区間:8.3-12.2ヶ月)と、プラセボ群に比べてルカパリブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを48%減少(HR:0.52、95%信頼区間:0.40-0.68、P<0.0001)した。

相同組換え修復欠損(HRD)のない群における無増悪生存期間(PFS)中央値はルカパリブ単剤群の12.1ヶ月(95%信頼区間:11.1-17.7ヶ月)に対してプラセボ群で9.1ヶ月(95%信頼区間:4.0-12.2ヶ月)tp、プラセボ群に比べてルカパリブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%減少(HR:0.65、95%信頼区間:0.45-0.95)した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、貧血がルカパリブ単剤群の28.7%に対してプラセボ群で0%、好中球減少症がルカパリブ単剤群の14.6%に対してプラセボ群で0.9%であった。

以上のATHENA–MONO/GOG-3020/ENGOT-ov45試験の結果よりBradley J. Monk氏らは「進行性卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬であるルカパリブ単剤療法は、相同組換え修復欠損(HRD)の有無に関係なく良好な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。

A Randomized, Phase III Trial to Evaluate Rucaparib Monotherapy as Maintenance Treatment in Patients With Newly Diagnosed Ovarian Cancer (ATHENA–MONO/GOG-3020/ENGOT-ov45)(J Clin Oncol. 2022 Jun 6;JCO2201003. doi: 10.1200/JCO.22.01003.)


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