「わかった時点で随時明らかにする、隠蔽はしない」が基本
なぜ、いつまでもこんな話題が続いているのだろうか。とっくに終息させることができたはずの話だ。
「大西葵会員及び帯同キャディーに対する処分について」というニュースリリースが、JLPGAから発表され、『選手とキャディーのトラブル』(以下『トラブル』)に、女子ツアー(JLPGA=日本女子プロゴルフ協会)がやっと決着をつけた。
アースモンダミンカップ初日(6月23日)プレー中に、大西葵と帯同キャディーが言い争いとなりキャディーが交代した、という出来事に関する調査の結果と詳細。トラブル翌日にJLPGA副会長が記者会見で約束したものが、1カ月以上経っててようやく出てきた。
下された処分は、大西に対してもキャディーに対しても「注意」。
認定事実としては「帯同キャディーが、17番ホール及び18番ホールにおいて(大西がプレーしている)第19組の同伴競技者及び同伴競技者の帯同キャディーに対して、舌打ちをしたり大きな声を発するなど配慮を欠いた言動をした」というもの。
これが、帯同キャディー規則2.『キャディーは、いかなるときでもエチケットとマナーを守り、他のプレーヤーに対しても心配りを忘れず、スポーツマンシップに違反するような言動をしてはならない』に該当すると判断した。帯同キャディーの違反に対しては帯同している選手の責任であるから、こちらに処分が下された、というわけだ。
内容を簡単にまとめると「キャディーが悪い。連れて来た選手には責任があるので同罪」というジャッジ。それに基づいた処分である。
選手とキャディーのトラブルは、決して珍しいことではない。日本の女子ツアーでは少ないが、過去にさかのぼれば、キャディー泣かせで有名な男子選手は複数いた。
米ツアーでも、キャディーと選手のトラブルは頻繁に起こっている。大会側が用意したハウスキャディーやアルバイトキャディーでなく帯同キャディーとの関係は、あくまで選手との個人的なもの。かつて、バッグを担ぐ父親とのケンカがツアーの風物詩となっていた選手もいるほどだ。周囲を巻き込まなければ、本来、ツアーが介入することではない。
ただ、今回は、明らかに同伴競技者に迷惑をかけたり、観客の前で見せるべきでないことをしたために、ツアーが動いたというところまでは理解できる。
だが、何か起きた時の鉄則として迅速にキッパリ処理をすることができなかったこと。わかっている事実を早急に公表しなかったことが、ことを大きくしてしまった。
翌日、トラブルが大きく表に出た時点で、ツアーはすでに一部の事情聴取を終えていたにもかかわらず、どっしりとした対応ができない。中途半端に情報を出し、中途半端に隠す。当事者の大西は「調査中なので話すなと言われています」と口止めされる。
その間に、ライブ配信されていた18番ティーイングエリアの映像が、ネットで拡散され続けた。17番の映像はなく、18番だけを見ても真実はわからない。少なくともその場面では、選手自身も同伴競技者や同伴競技者への配慮を欠いた行為をしているということが衆目にさらされた。今回の発表では、映像が伝える事実に対しては何の言及もないまま、スルーされている。
わかっていることだけをできるだけ明らかにし、それ以外は「調査中」としてわかった時点で随時明らかにする。隠蔽はしない。リスクマネジメントの基本である。
JLPGAに関して同じことを書いたのは、3年前の暴言事件の時のことだ。あの時の当事者も、今回の大西と同じように、長い間発言を止められていた。結果として、その話題は引きずることになり、当事者もツアーも傷を負った。その失敗が全く生かされていない。いや、失敗だと思っていないからそのままなのだろうか。
人間が集まれば、大なり小なりトラブルは常に起きる。大金が絡めばなおさらだ。選手とキャディーだけでなく、だれもがプロとしてするべきことをしていれば、その都度、対処できるはずだ。今回の件もまた、その正反対の対処だったと言わざるを得ない。
からの記事と詳細 ( 女子ツアーのリスクマネジメントは大丈夫?「キャディー交代劇」がここまで大ごとになってしまったワケ - e!Golf(イーゴルフ) )
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