金、銀、プラチナ(白金)などすべての貴金属を混ぜ合わせた合金を世界で初めて作った京都大大学院理学研究科の北川宏教授(60)。「現代の錬金術師」は、好奇心を大切に、社会での幅広い活用を目指して研究しています。
――子どもの頃から化学者を目指していたのですか。
「高校の時は化学が嫌いでした。教師に『1モルは22・4リットルやから覚えとけ』と言われ、納得できなかったんです。単位でつまずいたので、その後は全く理解できませんでした。3年生で受けた模擬試験の偏差値は35。でも、浪人して予備校で一からちゃんと教えてもらいました。講師の『基礎ほど難しいことはない』という言葉は私も学生に言っています」
――そんな化学をなぜ大学で?
「予備校の講師のおかげで化学が得意になっていたのですが、アポロ11号の月面着陸をきっかけに宇宙への憧れを抱いていたので、最初は天文学の道に進みました。ただ1年間かかって読むような専門書を1カ月で理解する同級生がいて『勝てない』と思い、化学に進みました。化学に必要なのは、基礎知識や基礎学力ですが、最後は感性、直感です」
――「現代の錬金術師」を名乗っていますね。
「化学(chemistry)の語源は錬金術(alchemy)とされています。中世の錬金術師は、安い金属を混ぜ合わせて金やプラチナを作ろうとしていました。エセ科学のようですが、今につながる実験器具や方法が開発され、リスペクト(尊敬)している部分もあります。今の化学企業も安い原料から付加価値のある薬品にしたり化粧品にしたりしている。安い原料から高い価値をという気持ちは同じだと思うんですよ」
――でも化学で金そのものを作ることはできません。
「合金はできます。紀元前3千年の青銅器時代、一番最初にできたのが銅とスズを合わせた青銅と言われています。その後、銅とニッケルの白銅ができました。青銅は十円玉、白銅は百円玉です。しかし、青銅から5千年もの歴史があるのに、人類は3割ぐらいの金属の組み合わせしか自由に混ぜられないままでした」
――長く不可能だった合金に挑戦しているのですね。
「九州大学にいた15年ほど前、元素番号45のロジウムと47の銀を混ぜたら46のパラジウムのようなものができないかと考えました。学生の草田康平君(現・京大特定准教授)に言ったら『錬金術じゃあるまいし、できないだろう』という反応でしたが、『とりあえず混ぜてほしい』と頼みました。それから2年ぐらい色々試したんですけど全部失敗。草田君は修士課程まで行ったんですけど『就職します』と。でも、『あともう少し頑張ろう』って。そしたらまあ混ざったんです」
研究室で熱く語ってくれた北川さん。この後ついに「錬金術」の中身を教えてもらいました。わくわくさせる夢の話も。
――その方法は…
からの記事と詳細 ( 化学嫌いの高校生が京大教授に 「現代の錬金術師」が語る夢の叶え方 [KANSAI] - 朝日新聞デジタル )
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