暮らしの中で身近にある箱の世界を深掘りする企画展「ハコ展〜箱膳から『ハコモノ』まで」が、みのかも文化の森・美濃加茂市民ミュージアムで開かれている。たかが箱だが、されど箱。箱には人々のさまざまな思いが詰まっている。時にハコモノと言われる博物館がそれを問いかけている。8月28日まで。 (近藤晶)
企画展は「見る」「楽しむ」「考える」の大きく三部に分かれ、同館収蔵品を中心に江戸時代から現代までの箱計二百五十点を展示。うち約五十点は市民から寄せられた。
「ハコを見る」では「詰める」「運ぶ」など用途ごとに紹介。一人分の食器を収納し、食卓にもなる箱膳や、昔広く使われていた薬箱や牛乳箱などを展示している。珍しいものでは日露戦争期に役場用務員が召集令状を入れて本人に届ける時に使われた箱もある。
「楽しむ」では、市民から寄せられた箱に本人の思いが添えられている。大学進学の際、引っ越し先のアパートで母親が渡してくれたキャンディーの空き缶。「餞別(せんべつ)だったのか…捨てられず、リボン入れとして今も現役」と親子の絆が感じられるエピソードがつづられている。
「考える」で博物館が登場。ガラスの展示ケースや収蔵品データを蓄積するパソコンのほか、「文化の森」の建物当初案の模型などを展示している。建物ばかり立派で市民の役に立たない公共施設は「ハコモノ」と揶揄(やゆ)されることも。展示の最後に博物館に対する来場者の思いを書いて貼ってもらうボードを設けた。
ミュージアムでは二〇一八年の企画展で市民から使い込んだ日常雑貨を募集した。可児光生館長は「そこには人々の思いや痕跡があった。貴重な文化財を展示するだけでなく、そうした思いを伝えるのが博物館の役割なのではないか。ハコの面白さを感じてもらいながら考えたい」と話している。
市民からの箱は二十九日まで募集。三十一日には小説家、安部公房の名作「箱男」を読み解くイベントがある。午前九時〜午後五時、月曜休館。入場無料。(問)同館=0574(28)1110
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