一般社団法人「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」(GGC)は1月20日、高さ18メートルの実物大ガンダムを動かすプロジェクトの概要を発表した。同発表会で、ガンダムの一部仕様や横浜・山下ふ頭にオープン予定の施設「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で展開される要素が公開された。10月1日から約1年間公開する予定で、7月からチケットの販売を予定しているが、現時点で価格は未定。
本記事では、実物大ガンダムの再現度合いや登壇者らの発言などを、写真とともに伝えていく。
建設するガンダムは、アムロが乗る機体として代表的な「RX-78-2」がベースだ。公開された1/30スケールモデルを見ると、現時点の技術で可能な限りガンダムを再現するものとなりそうだ。
設備は、ガンダム本体とガンダムを背中側から保持する「GUNDAM-CAREER」、格納およびメンテナンス用の「GUNDAM-DOCK」、メンテナンスデッキと同じ高さからガンダムを見られる観覧デッキ「GUNDAM-DOCK TOWER」で構成される。
まず、ガンダム本体の全高は18メートルで、重さは約25トン。作中でガンダムに採用されている「モノコック構造」(外板を湾曲させることで外板自身に応力を受け持たせる構造)ではなく、外装はカーボン樹脂。その内部には鋼鉄製の可動フレームがある。ガンダムのプラモデル「MGシリーズ」で採用される内部フレーム、もしくは「ムーバブル・フレーム」をイメージするといいだろう。
関節には電動アクチュエータが搭載され、自由度は手を除いて24だという。発表会では具体的にどこが動くのか明言しなかったが、公開中のメイキング動画を見るに、腕や手、脚、首、腰までは動くと思われる。
ガンダムの腰の背中側はGUNDAM-CAREERと接続されており、これがガンダムを支えている。「ガンダムを歩かせる」という目的からすると、ガンダムの足踏みに合わせてGUNDAM-CAREERを前進させるもののようだ。模型を見ると、ある程度機体を上下に動かすこともできそうだ。
GUNDAM-DOCKは機体の保守作業用となっているが、ビジュアルは「モビルスーツハンガー」的でもある。5段デッキになっており、ガンダム前部用デッキは可動式。建設やメンテナンスの様子がどこまで公開されるかは不明だが、保守点検員がGUNDAM-DOCKでガンダムをメンテナンスする様はまさに「夢が現実になった」ような光景かもしれない。
そして、観覧用スペースのGUNDAM-DOCK TOWERでは、ガンダム頭部付近の高さからガンダムの動くところを鑑賞、体感できる。この特別観覧デッキについては、一般公開に先駆け、2020年7月〜8月の土曜・日曜日に特別公開をする予定。
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」は、横浜の山下ふ頭に建設される。横浜市は企業誘致だけでなく観光にも力を入れており、直近では桜木町駅から運河パークまでを結ぶ全長630メートルのロープウェイ(2020年度内に開業予定)を建設中。特に臨港部の強化が目立つ中、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」は新たな観光資源としてかなりの効果を持ちそうだ。
ガンダムの動く仕組みが分かる「GUNDAM-LAB」も ロボット工学の学びのきっかけに
実物大ガンダムに隣接して、ガンダムが動く仕組みを学べる「GUNDAM-LAB」も建設する。同LABでは、ガンダムの設計や構造を学ぶコーナーやカフェ、物販はもちろん、カンファレンスルームも用意している。カンファレンスルームではトークショーの他、企業や研究機関、学校との連動企画も予定しているという。
ガンダムは知名度もあり、ロボット工学の教材としては分かりやすい。例えば、前例には「ザク」を用いたプログラミング教材「ZEONIC TECHNICS」が挙げられる。単純にデカいものが動く様子を見ることは、良い原体験となりうるし、「あれを作りたい」という目標にもなる。
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」公式サイトには、ガンダムの3Dモデルを用いたロボットシミュレーションのオープンソースプロジェクト「GGCリサーチ オープンシミュレータ」へのリンクがある。
これはロボット向けのオープンソースミドルウェア「Robot Operating System」(ROS)や3Dバーチャルシミュレーター「Gazebo」を用い、世界中の技術者はもちろん、若者であっても開発に参加できる体制を構築し、プログラムの開発やその共有を行っていくことを目的としたプロジェクトだ。
プロジェクトを立ち上げた東京大学の岡田慧教授(大学院情報理工学系研究科)は、「立ち上がったり、空を飛んだりという動作を格好良く実現するためには“かっこいい”というパラメータの式が必要だ。今回のプロジェクトをきっかけに、巨大なロボットを作る際の議論のプラットフォームとして活用したい」と語った。
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