ケンブリッジオーディオは、オーセンティックなサウンドを備えたオーディオコンポーネントを、圧倒的なコストパフォーマンスで実現するのが特徴のブランド。日本国内のエントリーマーケットにおいても、絶大なセールスを誇る存在である。
そんな同社の創業は1968年。ブランド初の製品はプリメインアンプ「P40」で、史上初となるトロイダルトランスを搭載し、薄型フルサイズのコンパクトボディながら質の高いサウンドを実現するなど、ブリティッシュ・オーディオの先駆けとしての地位を築いた。
また、CDトランスポートとDAC部を別筐体としたセパレート型のCDプレーヤーをいち早く実現したほか、クラスAの性能とクラスABの効率を兼ね備えた特許取得済みの独自技術「クラスXD」増幅を開発するなど、全て社内チームで完結できる技術力の高さを武器に、しかしながら技術偏重にならない、魅力溢れる心地良いサウンドを持ち味としている。近年ではその技術力を活かし、高性能なワイヤレススピーカーやワイヤレスイヤホンなども、再生アプリの開発レベルから手掛けている。
なお、筆者は2018年に同ブランドの本社を訪ねたことがある。何よりも驚かされたのは、創業時よりロンドン市内に居を構えるという本社内に、贅沢にも大きなスペースを取り、自前の音響システムを導入したライヴハウスやスタイリッシュなバースペースが併設されていたことだ。
ミュージシャンとしても活動する社員やゲストらによるライヴが開かれているというその場所には、社員のフェイバリットLPが壁一面にディスプレイされていた。単に音楽が好きというだけでなく、自らも音楽制作や演奏を実践する社員らによって、このブランドの音が創り出されているのである。そしてそれは、英国一のシェアを誇るアンプブランドという地位を築き上げている。
■現代の使用シーンに合わせ、洗練されたシンプルな構成とデザインが魅力
では、早速製品のプロフィールを見ていこう。まずAXC35は、実にシンプルなCDプレーヤーである。CD再生専用で、出力はRCAが一系統、デジタル出力が同軸および光出力を備えるという、無駄を省いた構成となっている。
心臓部のDACチップには、Wolfson「WM8524」が採用されている。WolfsonのDACチップは、これまで同社のTopazや上位CXシリーズで度々用いられており、その特長をよく掴んでいるものだといえるだろう。また、スペック的には同社の従来エントリー機であった「Topaz 10」に搭載されていたWolfson「WM8761」の上位グレードのチップとなる。
AXA35は、AXC35同様に薄型フルサイズとしたプリメインアンプ。35W(8Ω)×2の出力を持ち、入力は全てアンバランスで5系統装備。そのうち1系統はMMカートリッジに対応したフォノイコライザーアンプを搭載するほか、同じく1系統はフロントに配された3.5mm端子からも入力が可能となっている。
他にも、前面には6.3mm端子のヘッドホンアンプと、背面に5V電源を供給できるUSB- A端子とRECアウトを搭載。実にシンプルな構成だが、おそらくは、廉価なDACなどを積んで構成を複雑化するよりも、出来る限りシンプルな構成に徹して、アンプ部の性能向上に注力した結果なのだろう。しかしながら、3.5mm端子によるフロント入力や、USB端子による5V電源の供給など、現代の使用シーンを想定した、ケンブリッジらしい合理的で細やかな配慮を感じさせる構成と言える。
また両機で注目したいのは、ミニマルな魅力を纏った筐体デザインである。シンプルかつ洗練されたそのボディは、居室をスタイリッシュに演出してくれることだろう。
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January 29, 2020 at 04:31AM
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現代シーンに合ったエントリー新名機、ケンブリッジのCDプレーヤー&プリメイン「AXC35/AXA35」レビュー (1/2) - PHILE WEB
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