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中国・武漢に発祥したとされるコロナウイルスによる新型肺炎が世界的に流行の兆しを見せている。その症状、予防法や流行への対策、ワクチン開発の展望など、知っておきたい情報をQ&Aでまとめた。このページは最新事情を踏まえて随時更新する。
※コロナウイルスに関連する疑問などを記事下のコメント欄にて募集します。取材の参考にさせていただきます。
新型コロナウイルスはどうやって感染する?
1月28日、バス運転手の男性の感染が確認された。この男性は中国・武漢への渡航歴はないが、武漢からの観光客を乗せたバスを運転していた。ヒト・ヒト間で感染した可能性が高い。
厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症の現状からは、中国国内ではヒトからヒトへの感染は認められるものの、ヒトからヒトへの感染の程度は明らかではありません」としているが、新型コロナウイルスの感染力がこれまで流行したコロナウイルスのそれに近いとすると、「飛沫感染」(感染者のくしゃみやせきでつばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染する)や「接触感染」(感染者がくしゃみやせきを手で押さえ、その手で周りの物に触れて、ウイルスが付着。別の人がその物に触ってウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染する)の能力は持っていると考えた方がよい。一方で、結核や水痘のような「空気感染」(空気中に長時間、感染源となる飛沫核が浮遊し、これを吸い込むことで感染する)の能力は持たない可能性が高い。
新型コロナウイルスの感染を防ぐにはどうすればいい?
「新型コロナウイルスはどうやって感染する?」で解説したように、新型コロナウイルスは「飛沫感染」「接触感染」の能力を持っているが「空気感染」の能力は持っていない可能性が高い。これが正しいとすれば、第一に、感染した(と疑われる)人が飛沫を出さないこと。第二に、電車のつり革など不特定多数が触れるものには手を触れず、感染した(と疑われる)人が触れたものを消毒する、こまめに自分の手指を消毒することなどが有効な予防策になる。
第一の「飛沫を出さない」ためにはせきエチケットを守ることが重要だ。せきが出そうになったら、マスクがあれば正しく装着する。なければティッシュやハンカチなどで口を覆う。それもなければ上着の内側に向けて、袖で口を覆ってせきをする。第二の消毒について、ものの表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)、手指の消毒には消毒用アルコール(70%)が有効であると分かっている。消毒用アルコールがない場合は、流水と石鹸を用いて20秒以上洗うのも効果がある。
マスクはどこまで効果がある?正しい使い方は?(1/30追加)
新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、店頭からマスクがなくなってしまう店も出てくるほどマスクの需要が高まっている。中国ではマスクが手に入らず自作のマスクを作る人まで現れた。中国の医療従事者向けコミュニティサイト「丁香園」でも自作マスクについての質問がされている。回答は「自家製マスクは信頼できない」。また、防じんマスクなどで使われるフィルターの目が細かい「N95」規格のマスクでないと効果がないと言う噂も流れはじめている。
マスクの着用はどちらかというと他人への感染を防ぐものと考えた方がよい。せきやくしゃみが出ている人は回りにその飛沫をまき散らさないために使うということだ。最近「せきエチケット」と言う言葉が使われるようになったが、マスクの着用はその1つ。厚生労働省のサイトでも、せきエチケットの1番目に「マスクの着用」が上げられている。そして、マスクと肌との間に大きな隙間ができないようにする事が勧められている。
それでは人からの感染を防ぐ効果はどの程度あるうだろう。マスクによる感染予防効果は基本的にはインフルエンザのときと同じで、限定的と考えた方がよい。0.3マイクロメートル(「1マイクロメートルは1000分の1メートル)の粒子を防ぐ「N95」規格のマスクであっても、ウイルスの大きさは0.1~0.2マイクロメートルとそれより小さいので通り抜ける可能性がある。通常のマスクとその点では効果は大きく変わらない。そもそもウイルスを含んだ咳やくしゃみによる飛沫は5マイクロメートルと大きい。ここからも「N95」規格と通常のマスクとの効果は変わらないことが分かる。
また、5マイクロメートル程度の大きさの飛沫は空間を浮遊することはなく、すぐ落下してしまう。「空中に浮遊しているウイルス粒子の侵入を防ぐ」という考えでマスクをしている人もいるかもしれないが、そもそもそれは間違った考え方だ。ただし、新型コロナウイルスは飛沫感染や、接触感染が主なので、列車や人混みの中で、近距離から飛んできた飛沫との接触を防ぐという点では効果はある。
ただそうであっても、マスクで口だけをおおって、鼻を出していては効果は半減してしまう。またマスクと肌との間に大きな隙間があっても同じだ。そして大事なのは、こまめにマスクを交換すること。マスクが飛沫を防ぐということは、マスクが飛沫で汚染されているからだ。それを長時間使ったり、使い回したりするのはよくない。またマスクを取り外す時もマスクの表面を触らないように気をつけたい。マスクの外し方も前述した厚生労働省のサイトで紹介されている。
さらに言えば、感染はウイルスが付着したところを触れた指で、口や鼻や目に触ることで起きるので、外出後の手(指)洗いが重要だ。マスクを付けたからといって安心し、手洗いを怠ると、ある意味逆効果となるので気をつけよう。
新型コロナウイルスに感染したらどう治療する?
新型コロナウイルスに対して有効な抗ウイルス薬・ワクチンは開発されていないため、発熱、呼吸器の炎症によるせきや呼吸困難を抑える対症療法しかない。
新型コロナウイルスの潜伏期間は?
ウイルスに感染したのち、症状を発するまでの期間を「潜伏期間」と呼ぶ。新型コロナウイルスの潜伏期間はまだ明らかになっていないが、同じく重篤な肺炎をもたらす新型コロナウイルスである重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の例から「最大14日間」程度ではないかと推測されている。
この期間内にある感染者に感染力があるかどうかは専門家の間でも意見が分かれている。もしあるとすれば、自覚症状なしに感染を大規模に拡大する患者「スーパー・スプレッダー」の出現が予測される。SARSのアウトブレーク(爆発的流行)においてもスーパー・スプレッダーの存在は大きかった。
新型コロナウイルス感染症の症状は?
最大14日間程度の潜伏期間ののち発症する。SARSと同じく発熱やせき、呼吸困難などの症状が出るが、鼻水、くしゃみ、咽頭炎など上気道の症状、下痢などの消化器症状はSARSと比べると報告が少ない。また、一般の風邪であれば発症から3日間程度で症状が軽減していくことが多いが、新型コロナウイルスは発症から7日間程度からむしろ症状が悪化する傾向があると報告されている。
新型コロナウイルスに感染したかどうかをどうやって調べる?
風邪やインフルエンザ、他の病原体による肺炎と比較して、検査所見・画像初見において特異な点はないため、医師による診断で感染を判別するのは難しい。感染の診断を確定させるためには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法と呼ばれる検査手法でウイルスを同定する必要がある。通常、このPCR法による検査は国立感染症研究所で実施しているが、感染拡大が懸念される春節であることから、全国の地方衛生研究所でもこの検査に対応できる体制を整えた。
感染症法ってどんな法律?「指定感染症」って何?
感染症法(正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)は、感染症の予防や患者に対する医療措置について定め、強制入院や就業制限などの根拠となる法律である。
同法は、感染症を感染力などの危険性に応じて1~5類に分類している。エボラ出血熱やペストなどは最も危険性の高い1類に、結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザなどは2類に分類されている。類型に応じて実施可能な措置が異なる。
新型コロナウイルスなど未分類の感染症は、政令による暫定措置(最長は2年)として「指定感染症」に指定できる。
政府は1月28日、新型コロナウイルスによる肺炎を指定感染症に指定する政令を閣議決定した。施行は2月7日。指定感染症への指定は、2014年に流行したMERS(中東呼吸器症候群)以来、5例目となる。
指定感染症に指定されたことで、以下の措置が可能になる。都道府県知事が患者やその保護者に対して、感染症対策が整った医療機関への入院を勧告し、それに従わなければ強制入院させることができる。一定期間、就業を禁止する措置も可能になる。指定されないと、政府チャーター機での帰国者がそうだったように、自宅待機を要請する場合も「依頼」にとどまり、強制力を持たない。
指定されたことで、勧告による医療費は公費で全額負担される。
政府は同日、検疫法における「検疫感染症」に指定する政令も閣議決定した。空港などの検疫所で診察を受けるよう指示できるようになり、それに従わない場合は罰則を科すことができる。
そもそも「コロナウイルス」って何?
細胞や細胞膜は持たず、増殖もできない。だが、ゲノム情報は持ち、「感染」によって他の生物の細胞を利用して自己複製はできる――。生物と非生物の間に位置する「ウイルス」と呼ばれる構造体の1種で、ウイルス粒子(ビリオン)の外殻膜に当たる「エンベロープ」に、太陽のコロナのような形状が見られることからこの名が付いた。RNAウイルスに分類される。ほかのウイルスと同様に、コロナウイルスには細菌に対しては有効な抗生物質も効力を及ぼさない。
人間に感染するコロナウイルスとしては、これまで6種が確認されていた。うち4種(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)はいわゆる「風邪」の病原体となる。感染しても症状は比較的軽微で済む。残る2種がSARSの名で知られる「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)」とMERSの名で知られる「中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)」。感染すると重症の肺炎をもたらす。前者は、30を超える国・地域に拡大し、疑い例を含む患者は8069人、うち775人が死亡した(世界保健機関(WHO)、2003年12月時点)。後者は27の国・地域で2494人の感染者が報告され、そのうち858人が死亡した(WHO、2019年11月時点)。新型コロナウイルスは、これらに続く、人間に感染することが確認された7つ目のコロナウイルスに当たり、国際的には「2019-nCoV」と呼称されている。
なお、上記のエンベロープが脂質であることからアルコールや界面活性剤に弱い性質を持つ。これが、コロナウイルスに対して消毒や手洗いが有効な理由だ。
(出典:国立感染症研究所ホームページ)
症状があり、感染したかもしれないと思ったらどうすればいい?
厚生労働省は感染が疑われるせきや発熱などの症状が出た場合、事前に医療機関に連絡を入れた上で、マスクを着用して受診することが望ましく、その際には鼻と口の両方をマスクで確実に覆うことを推奨している。中国・武漢市の滞在歴がある場合はその旨も申告し、武漢市から帰国した人で同様の症状がある場合は、空港、海港の検疫所に申し出るよう協力を求める。
同省は1月28日に新型コロナウイルス専用の電話相談窓口(03-3595-2285)を開設、午前9時~午後9時に問い合わせに対応している。
重症化しやすいのはどんな人?
新型コロナウイルスは感染者に重篤な肺炎をもたらし、中国国内では100人以上の死者が出ているため、同ウイルスの感染症が「死に至る病」であることは間違いない。だが死亡例の多くは60歳以上、もしくは高血圧や内臓疾患など別の重篤な症状を患っていたとの報告もあり、新型コロナウイルス感染症自体は、十分な体力と適切な対症療法さえあれば、重篤化するもののただちに生命に危機を及ぼすものではないという見方もできると考える専門家もいる。もっとも、そうだとしても、高齢者や別の疾患を抱える患者にとっては確実にリスクが高い感染症であることに違いはなく、弱者への感染予防は強者に対するそれよりもより重視されるべきだろう。
(写真:PIXTA)
新型コロナウイルス感染症の致死率は高い?
厚生労働省のまとめによると、1月28日正午現在、世界各国で確認された感染者は4561人に上った。このうち中国国内の感染者が4515人を占め、死亡者は106人が報告されている。タイでも8人、米国、台湾、オーストラリア、シンガポールでも各5人が確認されているが、中国以外での死亡者は確認されていない。日本では同日18時現在で7人の感染が認められ、このうち1例目は全快、2例目も症状が軽くなり、3、4例目についても症状は落ち着いているという。WHOは新型コロナウイルスによるものとみられる肺炎の致死率を3%程度と推定している。季節性インフルエンザの0.1%未満と比較すれば高い割合だが、SARSの約10%、エボラ出血熱の約50%、MERSの約35%と比べると低い。ただし感染者が増えたり、ウイルスが変異したりすれば致死率が変動する可能性もある。
ウイルスの流行は終わる?SARSって全滅した?
世界に出現・流行した病原体ウイルスを根絶するのは不可能に近く、感染が流行しない状態に追い込むことを「封じ込め(containment)」と呼ぶ。2002年11月前後から流行したSARSは2003年7月にはWHOによって封じ込めの成功が宣言された。ワクチンの開発によってではなく、医療機関や政府機関が連携しながら感染者の治療と隔離、感染予防の徹底を図った「社会的封じ込め」の結果だった。
ただし、今回の新型コロナウイルスに対してこうした「社会的封じ込め」がうまく機能するかどうかは未知数だ。ウイルスの感染力が同等だったとしても、当時と比べて中国国内では高速鉄道や空路が整備され、人がより激しく往来するようになっている。ただ一方で、ワクチン開発の速度も格段に上がっているほか、中国政府は既存薬の応用を積極的に治験するような動きも見せており、積極的な治療による「物理的封じ込め」の効果が期待できる可能性もあるだろう。
(写真:ロイター/アフロ)
武漢ってどんな場所?
中国中部、湖北省の省都で、長江沿いに広がる都市。定住人口は約1100万人。首都・北京と南部の広東省広州、沿岸部の上海と内陸部の大都市である四川省成都を結ぶ線が交差する場所に位置しているため、古くから交通の要衝として栄えてきた。北京および上海から武漢までは高速鉄道で4時間半ほど。
(写真:PIXTA)
中国への渡航はやめるべき?
外務省は1月24日、武漢市を含む湖北省全域の感染症危険レベルを「3」に引き上げ、渡航の中止を勧告している。湖北省以外の地域については「レベル1」の「十分注意してください」だが、感染拡大の可能性があるため、最新情報を入手するように呼び掛けている。
海外では、米国務省が1月27日、中国本土への渡航の警戒レベルについて、4段階のうち上から2番目の「渡航の再検討を」に引き上げたと発表した。湖北省については、最も高い「渡航すべきではない」になっている。
・外務省海外安全ホームページ
(出典:外務省 海外安全ホームページ)
従業員に感染したら、企業はどんな対応を取ればよい?
豚由来の新型インフルエンザが2009年に世界的に流行した際、多くの企業が感染症に対する事業継続計画(BCP)を作成している。BCPの専門家であるプリンシプルBCP研究所の林田朋之所長は「BCPの観点で言えば、新型コロナウイルスと2009年の新型インフルエンザには類似点が多く、その際に作成したBCPを踏襲できる点が多い」と話す。
例えば、従業員に対する手洗いやマスクの着用などの感染防止策、オフィスや工場に関する防御策、感染拡大した場合、どんなしきい値で営業所等の事業を継続するかなどについて、当時のBCPがそのまま使える可能性が高い。
ただし、新型インフルエンザ向けのBCPはすでに作成から10年が経過しており、当時の危機管理担当者が異動している場合が多いと考えられる。この10年、大きな感染症がなかったことから、マニュアルの内容を十分に把握していない恐れがある。BCP担当役員を含め、いま一度マニュアルを見返し、情報伝達の手段や意思決定者について確認することが必要だ。
内容が陳腐化しているケースも想定される。2009年当時は認めていなかったが、現在は働き方改革の観点で在宅勤務や時短勤務、リモートワークなどを認めている企業も多い。「こうした働き方の施策をBCPの観点で追加するのが急務だろう。ちょうど東京五輪・パラリンピックを前にして、多くの企業が五輪期間中の在宅勤務について検討しているはず。その計画をBCPの観点で流用すればよい」と林田所長は勧める。
例えば、GMOインターネットグループは、事業継続と安全確保を理由に、中国からの観光客が多く集まる渋谷、大阪、福岡の各拠点で働く従業員に対し、1月27日から2週間をめどに在宅勤務とすることを決めた。
[以下、1/30追加]
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、中国からの帰国者に対して在宅勤務を要請する動きが広がってきた。
楽天は、社員あるいは同居している家族が、1月16日から28日に中国から帰国した場合、29日から14日間の在宅勤務にすることを決めた。また、30日以降に帰国する場合も、帰国日から14日の在宅勤務を指示する。出張だけでなく私的な渡航も対象となる。これまでも社員に対して注意喚起していたが、感染の広がりを受けて予防策を強化した格好だ。
同社は帰国者以外に対しても在宅勤務制度を柔軟に運用する考え。妊娠者や慢性心疾患など高リスクの疾患を持つ社員に対しては、上長への相談のもとで在宅勤務を可能にする。
また、29日以降は中国への出張や中国からの出張受け入れを原則として全て延期する。
野村ホールディングスも29日、今月15日以降に中国に滞在した従業員に対して、出国日から14日間の在宅勤務を求めることを決めた。グループ企業の日本国内で勤務している従業員が対象となる。
感染源はコウモリ?ヘビ?なぜヒトに感染??
ウイルスが生物の細胞へ侵入する際に利用する細胞側のたんぱく質を感染受容体(レセプター)という。例えばコウモリの細胞に感染するウイルスはコウモリの細胞にあるレセプターを利用して侵入するが、ヒトの細胞にはそのレセプターがないため感染できない。これが、生物の種を越えて超えてウイルスが感染できないメカニズムだ。
ところが、コウモリに感染できるウイルスの一部に、たまたまヒトの細胞にあるレセプターを利用できるような突然変異が起こったとする。ヒトがこのウイルスに接することがなければこのウイルスはコウモリの細胞に感染できずに死滅するだけだが、そこにヒトがいたら感染し、増殖してしまうかもしれない。人間が衛生管理されていない野生動物と接触を続けることは、このように「突然変異したウイルスをたまたま拾う」確率を上げる行動とも言える。
米疾病対策センター(CDC)は1月29日時点で、新型コロナウイルスの発生源について以下のように解説している。「コロナウイルスの一部はヒトに感染し、病気を引き起こすが、ラクダ、ネコ、コウモリなどの動物間で循環している。人に感染するようになったコロナウイルスであるSARSはジャコウネコに由来し、MERSはラクダに由来する」
また、中国疾病予防コントロールセンターは1月28日の新型コロナウイルスに関する報告書の中で、「現時点で新型コロナウイルスは動物に由来するものと考えられるが、具体的な動物の種類については明らかになっていない」としている。さらに「ウイルスが動物から人に感染し、変異したプロセスが(武漢市内の)華南海鮮卸売市場で起きたのかどうかはなお確認が必要だが、同市場が初期の症例の発生源となった」と報告している。中国メディアは、同市場では海鮮だけでなく野生動物を販売する店舗もあり、アナグマやタケネズミ、ジャコウネコ、クジャクなどが販売メニューに載っていたと報じている。
受験生に感染が疑われる症状が出たらどうする?
受験時の対応については、公立校は各自治体の教育委員会、私立校は学校法人、国立校は付属大学が判断している。ただ高校受験については文部科学省が2016年10月に全国の都道府県や政令市の教育委員会などに対して、体調を崩した状態で生徒が受験することがないよう、追試験実施などを求める通知を出している。同省の調査によると、19年には「独自の学力問題による追試」は大阪、埼玉、長崎などの21自治体で、「二次募集と同一の日程で学力検査による追試」は東京、三重、和歌山、高知の4自治体で実施された。
これは16年2月に神奈川県相模原市で、インフルエンザに罹患して別室受験をした男子生徒がその失敗を苦に自殺、母親も後を追って死亡した事案を受けて対策が取られたもの。追試験の他にも「複数回の受験機会の確保」や「調査書などで選考」といった方法で体調不良に対応している学校もある。同省児童生徒課の担当者は「無理して受験に臨む前に、まずは通学する学校に受験機会の確保について相談してほしい」と話す。
在宅勤務制度がない会社で、「新型肺炎の感染が怖いので在宅勤務します」と出社しなかったらどうなる?
企業は労働契約で定める範囲で業務命令権によって就業場所を従業員に命じることができる。一般的に企業と従業員が結ぶ労働契約には、「事業所、その他会社が定める場所」などと就業場所を縛る文言が盛り込まれており、在宅勤務制度がない場合、従業員が在宅での勤務を求めても企業が応じる義務はない。それでも従わなかった場合、労働契約違反として、厳重注意や、場合によって懲戒の対象となる。
ただし、企業は従業員に対して「健康配慮義務」を負っている。労働法に詳しい竹花元・弁護士は次のように指摘する。
「今後、ウイルスがさらにまん延し、『感染の具体的なリスク』が高まった場合には、健康配慮義務の履行として、むしろ出社を停止することが必要になる。リスクの高まりがどの程度であるかは評価が分かれ、『出社を停止することが必要なほどのまん延』には慎重な判断が必要になる」
企業に在宅勤務制度があり、その取得要件に合致している場合は、在宅勤務の取得に問題はない。また、在宅勤務ではなく有給休暇の取得の申し出の場合、原則として企業は休暇の取得を認めなければならない。
中国政府は20年1月27日から海外への団体旅行を禁止した。日本の旅行業界などへの影響は?
中国が海外への団体旅行を禁止したことを受け、団体客を積極的に受け入れていた宿泊施設は打撃を受けているようだ。大手旅行会社の国内旅行責任者は「取引のある旅館でキャンセルが相次いでいる。中国人客のキャンセルの穴を埋めるため、日本人へ積極的にプロモーションしていく」と話す。SARSが流行した2003年の時点では44万人だった訪日中国人は、ビザの緩和などで19年には959万人と20倍以上になった。それだけ国内宿泊業の中国依存は高まっていると言える。
一方で、中国人観光客の個人旅行が進んだことで、宿泊施設大手からは影響は限定的との声もでている。阪急阪神ホテルズは「多少のキャンセルが出ている程度」としており、星野リゾートも「中国からのキャンセルは出ているものの、日本も含め中国以外からの宿泊者は来ている。宿泊料金を下げざるをえないといったレベルにはいっていない」との状況だという。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2018年)によると、中国人訪日客のうち団体客は3割にとどまり、7割は個人客となっている。
ワクチンはいつできる?どうやって開発する?
具体的な時期は不明である。ただし、上海復旦大学の研究者が率いるコンソーシアムがウイルスの遺伝情報を解析し、公的なデータベースで公開しているため、世界中の研究者が、診断技術やワクチンなどの研究開発に乗り出せる状況となっている。
実際、米国立衛生研究所と米国のワクチンメーカーのノババックスは1月21日、それぞれワクチンの開発に着手していることを明らかにした。ノババックスはこれまでに別のコロナウイルス株が引き起こすMERS向けワクチンとSARS向けワクチンの研究を行っており、ワクチン開発の成功に近い立場にいるといえる。
感染が急拡大する中で予防措置として重要なのが、いかに早く大量のワクチンを生産できるかだ。この観点で注目されるのが、田辺三菱製薬の子会社であるカナダのメディカゴが持つ技術だ。タバコと同属のニコチアナベンタミアナという植物を用いて、ワクチンとして使える遺伝子組み換えたんぱく質を製造するもの。この技術を使えば、5~6週間で臨床での使用が可能なワクチンを製造できるという。
参考記事:武漢の新型コロナウイルス肺炎 ワクチンはいつできる?
武漢での日本企業の対応は?
武漢市に3つの四輪車工場を持つホンダは、春節のため1月23日から予定通り市内の全工場の操業を停止している。現時点で「影響はない」としているが、予定していた2月3日の再開については「操業できるかどうかわからない。引き続き検討している状態だ」(ホンダ広報)としている。駐在員やその家族については、政府によるチャーター機で段階的に帰国させる方針。今後の戦略を検討する責任者数人が現地に残るという。
イオンは武漢で展開している総合スーパー(GMS)5店について、今後も営業を続けると発表している。中国政府から食料品の安定供給の継続を要請されたためだ。営業時間を短縮し、店舗を一部、縮小するものの、必需品などは提供しているという。一方で、3つのイオンモールの専門店街は24日から休業しており、再開のめどは立っていない。5店舗の営業を続けるため、それぞれの責任者は武漢にとどまる。その他の従業員は政府チャーター機で順次、帰国する。
このほか、ファーストリテイリングが市内17店のユニクロを一時休業中。良品計画も市内10店の「無印良品」の営業を見合わせている。
WHOが「緊急事態宣言」を出すと何が起きる?
報道での記事見出しでは「緊急事態宣言」と書かれるが、正確には「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」のこと。 WHOが出すものだが、もともとは、黄熱病、コレラ、ペストの流行などを対象としていたが、2005年からは、今回のような新型ウイルスやバイオテロなど、原因を問わず国際的な対応を求められる感染を対象とするようになった。対象拡大のきっかけになったのが、2003年、中国で発生したSARSだった。このためSARSでは宣言は出されていない。最近では、14年8月、西アフリカでのエボラ出血熱、16年2月のジカ熱の際などに出されている。
中国武漢で発生した新型コロナウイルスに対して、WHOは20年1月23日に委員会を開いたが宣言を見送っている。1月29日にWHOのテドロス事務局長と会談した中国の習近平主席は宣言に否定的な考えを示した。宣言のポイントは、感染が国際的に広がりを見せているかや、「感染力」、「病原性(感染した場合の重篤度)」などだ。WHOの会議では意見が割れたものの「時期尚早」として宣言を見送った。
宣言が出されると、加盟国は感染者が発生した場合に24時間以内に通告する義務を課せられ、空港・港での検疫強化や渡航制限といった水際対策の強化も求められる。また、WHOが民間を含め監視に関する情報にアクセスすることや、各国の対応に対して勧告を出すことができる。基本的にはWHOがリーダーシップをとり、各国が足並みをそろえて感染に対する対策を進めるためのものだ。
なお、WHOが09年に出した最初の緊急事態宣言は、新型インフルエンザ(H1N1亜型)に対するパンデミック宣言(世界的な感染爆発)だった。しかし、通常のインフルエンザ流行と大差ないとされ「空振り」とされた。逆に、14年、西アフリカでのエボラ出血熱に出された3回目では、宣言を出すのが遅過ぎたとの評価を受けている。
新型コロナウイルスの最新感染状況を知るには?
新型コロナウイルスの感染状況が分かるサイトとしては、中国の医療従事者向けコミュニティーサイト「丁香園」に作られた特設ページがまず上げられる。「流行地図」「リアルタイム情報」「噂」「病気の知識」などの情報を提供している。流行地図では、各地域の感染者数が色分けで表示されている。感染者の推移や、死亡者数、治癒した人の推移も見られる。リアルタイム情報では、刻々と新しい情報が追加されている。ユニークなのは「噂」。「ニンニクを食べると効果があるのか」「青島のバス路線は止まっている?」「うがい薬で感染を防げるか」などの疑問や噂について簡潔に答えている。自動翻訳機能などを使えばそこそこ理解できるので、市民がどんな疑問を抱いているのか、どんな噂が中国で流れているかを知ることができる。
米ジョンズ・ホプキンス大学の「Wuhan Coronavirus (2019-nCoV) Global Cases」でも感染地図を掲載している。中国の地域別、世界の国別の感染者数が円の大きさで示されている。地図は拡大縮小できるので、各地域の感染者数を視覚的に把握しやすい。情報源としては、 CDC (米疾病対策予防センター)、WHOなどを始め、上記の「丁香園」も入っている。数時間遅れぐらいのほぼリアルタイムで情報が更新されているようだ。
WHOの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言が出されるかどうかは、国際的な感染の広がりが1つのポイントとなる。両者のページを見れば、最新の状況が分かるので参考になる。
■変更履歴
「抗ウイルス薬(ワクチン)」を「抗ウイルス薬・ワクチン)」に変更しました[2020/1/30 13:15]
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