日本電気株式会社(以下、NEC)は29日、2019年度第3四半期累計(2019年4~12月)の連結業績を発表した。
売上収益は、前年同期比6.9%増の2兆1756億円、営業利益は同366.8%増の779億円。税引前利益は同197.8%増の788億円、当期純利益は同542.9%増の491億円となった。
NEC 代表取締役執行役員副社長兼CFOの森田隆之氏は、「2019年度通期予想に対する進捗は順調である。売上収益は連結事業売却の影響を受けたその他事業を除いて、すべてのセグメントで増収。営業利益は売上増加や構造改革効果により、すべてのセグメントで増益となった。計画に対しては、売上収益で1000億円上振れし、調整後営業利益では150億円の上振れとなっている」と話す。
また「セグメント別では、システムプラットフォーム、パブリック、ネットワークサービスが営業利益で社内計画を上回っている」としたほか、「中長期的な企業価値向上のために100億円の追加施策を計画している。そのため年間予想は変更せず、年内に実行可能な施策を引き続き検討していく」とも語っている。
100億円規模の追加投資については、DXや5G関連先行投資、セキュリティ強化、環境整備、人材育成、収益改善施策などを予定しているとのこと。
「セキュリティに関しては、東京オリンピックの開催にあわせて、サイバーアタックが増えていくと考えており、実際にそれは増加している。プロセスを含めた総点検、二重化への対応を進め、万全を期したい」とした。
なお、前述のように2019年度通期の業績見通しは据え置きとなる。売上収益は前年比1.3%増の2兆9500億円、営業利益は同88.1%増の1100億円、調整後営業利益は同4.2%増の1250億円、当期純利益は同61.7%増の650億円、調整後当期純利益は同2.5%増の740億円としている。
セグメント別の業績
セグメント別業績では、パブリックの売上収益が前年同期比4.0%増の6442億円、営業利益は前年同期から192億円増の475億円。国内受注は前年同期比2%増となっている。
「社会公共領域、社会基盤領域ともに増収となった。自治体向けITサービス、中堅・中小企業向けITサービス、航空・宇宙・防衛領域も好調であった。日本航空電子工業を除いたベースでは、売上収益は約10%の増収、営業利益は219億円の増加になる。通期計画に対しては、売上収益で300億円程度の上振れを期待している。営業利益は不採算案件の増加もあり、保守的に見て通期計画並の着地を想定している」と述べた。
エンタープライズは、売上収益が前年同期比7.7%増の3395億円、営業利益は前年同期から17億円増の273億円。国内受注は特殊要因を除いて、前年同期比1%減。「Office 365を中心としたライセンスの商流変更により、160億円が計上されている。この特殊要因を除いても2%の増収になった。また上期に不採算案件が発生したが、売り上げ増によって増益になっている」という。
さらに、「エンタープライズは流通、金融の大手ユーザーの大規模システムの端境期にあたっている。前年に比べると大型受注が入っていない。だが、金融業向けが増加している。売上収益は通期計画を200億円程度上回ると予想。営業利益計画も十分達成できる」と述べた。
ネットワークサービスは、売上収益が前年同期比10.5%増の3414億円、営業利益は前年同期から84億円増の181億円。国内受注は前年同期比2%減。
「5Gの導入を見据えた固定ネットワーク整備の活性化、子会社であるNECネッツエスアイの売り上げ増加が貢献した。通期計画を300億円程度上回ることになりそうだ。営業利益ではNECネッツエスアイで一過性の損失計上があったが、売り上げ増加によってこれをカバーした。通期計画を若干上回ると期待している」とした。
なお5Gビジネスの中身については、「5Gは、サムスンとの連携によるオペレーター向けの基地局ビジネスが、商談を進めているものの、まだ結果が出ていない。問い合わせが増えているのがオープンVLANであり、これに対応しているところである」と述べた。
システムプラットフォームは、売上収益は前年同期比12.2%増の3892億円、営業利益は前年同期から275億円増の323億円となった。国内受注は前年同期比7%増。
「ビジネスPCやサーバーを中心にハードウェアが増加。構造改革効果が増益につながっている。通期計画に対しては、ビジネスPCの好調ぶりにより、売上収益は約600億円、営業利益は約100億円の上振れになる。Windows 7のサポートが終了しても、1月の販売台数は当初想定したような急激な減り方ではない。だが、来年度は台数ベースで40%ぐらい市場が縮小するとみている」とした。
グローバルは、売上収益が前年同期比23.3%増の3666億円、営業利益は前年同期比73億円増の12億円。
「KMDの新規連結や、海洋システムやエネルギーの増加が増収に貢献。セーファーシティやサービスプロバイダーソリューション、ワイヤレスソリューションなどの改善によって黒字化した。だが、セーファーシティでは、香港の政治情勢や為替変動の影響を受けている。また、競争環境が激化しているディスプレイ、不採算案件を計上したエネルギーといった課題事業は、赤字にならないような仕掛けを検討している。グローバルは、年間計画に対して、売上収益では約400億円、営業損益で100億円程度の下振れを見込んでいる。収益性の悪い事業を改善し、NEC全体としての営業利益率5%以上に高めていく」とした。
その他事業は、売上収益が前年同期比35.6%減の946億円、営業利益は前年同期から31億円増の85億円となった。
なお、新型コロナウイルスの影響については、「直接的な影響はそれほどない。しかし、2月初めから操業させる予定だった中国の生産拠点を、政府の指導もあり10日間ほどずらすことになった。今後、影響が懸念されるのがサプライチェーンである。長期化すれば部品の調達にも影響が出てくる可能性がある」と述べた。
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January 29, 2020 at 10:00PM
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NEC、2019年度第3四半期連結業績は増収増益 売上は計画に対して“1000億円の上振れ” - クラウド Watch
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