Wednesday, January 29, 2020

【専欄】現代の「状元」その後 ノンフィクション作家・青樹明子 - SankeiBiz

 日本は大学入試シーズンを迎えた。最後のセンター試験も行われ、55万7699人が志願したという。もちろん規模でいえば、中国高考(大学統一入試)はもっとすごい。直近の数字では、志願者は1000万人を超えている。

 日本の56万人、中国の1000万人。この中でいったい何人が、自らの志望校合格を勝ち取ることができるのだろう。大学入試勝ち組に入る難しさを改めて感じる。

 日本はともかく、中国の入試勝ち組は、比較的分かりやすい。成績優秀者は公表されるからである。その最たるものが「状元」だ。各省において、文系・理系のそれぞれトップの成績を得た受験生には「状元」の称号を与えられる。彼らは学校から表彰され、新聞にも載り、一躍時の人となるのである。省によっては、高額の奨学金を出すこともある。

 これまで約3000人以上の状元が誕生しているが、彼らはその後どのような人生をたどっているのだろう。

 劉也行さんは2004年の高考で750満点中719点を取り、河南省理系の状元となった。清華大学に入学し、生命科学の博士号を取得。現在、清華大グループの資産運用会社で、チーフディレクターとして活躍している。彼は学生時代から優秀さで名をはせ、江蘇テレビの人気クイズ番組に出演し、その回答率の高さで「清華大新時代の神」という称号を得る。

 その華麗なる経歴も通過点である。劉さんは「状元に選ばれたのは、人生初期段階の単なるエピソードにすぎない」と語る。

 意外な選択をした状元もいる。石悦さんは06年、702点という好成績で内モンゴル理系の状元となった。その後清華大建築学科を経て北京大で修士号を取得。卒業後は、周囲の予想に反し、ゲームアプリのMCとなる。彼女のライブは人気を博し、今では100万人以上のファンを持つという。

 金融、ジャーナリズムでは、中国でもトップレベルの人民大・新聞学院大学院の周勇教授は、1992年の湖南省高考文系状元である。状元となったことで、「夢にまで見た人民大に入学でき、大好きなジャーナリズム研究を専門にすることができた」との認識を持つ。しかしそれも「茶飲み話の一つにすぎない」と言う。「メディアが過剰に報道することによって受験生にプレッシャーを与え、心を虐げているのではないか」と警告も発する。

 「(それを得るために)個人がどれだけの経験をしたかは他人には分からない。それまでの努力は、(状元という)輝ける称号では言い尽くせないほどの現実がある。世論は高考・状元を神話の域に入れてはならない」

 日本の受験生はセンター試験に臨むにあたり、こんなことを述べている。「この試験が、何か新しい人生を作ってくれる気がして」

 全ての受験生にとり、素晴らしい門出になりますように。

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January 30, 2020 at 03:00AM
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