Thursday, July 28, 2022

自己コントロール過剰の現代人に、ストア哲学者が教える「自由」 - 現代ビジネス

ドナルド・ロバートソン『認知行動療法の哲学:ストア派と哲学的治療の系譜』(東畑開人、藤井翔太監訳、金剛出版)が刊行されました。このところ一般にも目にする機会が増えてきた心理療法アプローチ「認知行動療法」が、古代の「ストア派」の哲学に由来することを大胆に跡付けた作品です。

いっけん専門的な内容に思える同書ですが、日々さまざまな数値やデータ、定量化された評価によって「自己コントロール」を迫られる現代の私たちに、少し解放的なものの見方を授けてくれるかもしれません。監訳者の藤井翔太さんが解説します。

はじめに――哲学/臨床心理学ともう一つのTHE MATCH

「僕がいない別の世界というか、〔…〕絶対交わらないよねって言われていたもの、〔…〕あれですね、ディズニー〔ランド〕とユニバ〔ーサル・スタジオ・ジャパン〕。そのぐらいの世界が二人にはあった、とは思うんですけど。そこが本当に交わるというか。二人とも別の世界で作ってきたんですけども、ここでやっと交わるというか。お互いの団体をずっと盛り上げてきましたし。」(K-1 【official】YouTube channel, 2021年12月24日.〔〕内は引用者の補足)

格闘技団体「RISE」を主戦場として活躍する無敗のキックボクサー・那須川天心と、打撃系格闘技興行を主催するもう一つの団体「K1」のチャンピオン・武尊との対戦が電撃的に発表されたのが、2021年のクリスマスイブだった。

この戦いをもってプロキックボクサーとしてのキャリアに終止符を打つ覚悟の那須川選手が述べた上のセリフを聞いた私は、ある不思議な感慨を覚えた。というのも、それがそのまま、私が臨床心理学者の東畑開人氏とともに手掛けた、ある奇妙な哲学=心理学書の描写のように聞こえたからである。

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