日本財団は、すべての子どもたちが子どもらしい時間を過ごせる社会の構築を目指し、子どもを支援する多様なプロジェクトを推進しています。その取り組みのひとつである、「ヤングケアラーとその家族に対する支援」を加速させるために、東京都府中市と2023年4月から2026年3月まで3年間の連携モデル事業を実施することになり、4月28日(金)、日本財団・府中市との連携協定締結式が府中市役所にて行われましたので、お知らせいたします。
本モデル事業ではヤングケアラーを早期に発見し、支援先につなげ、実際に支援を提供するモデルの構築と支援体制の整備を行います。また、本取り組みにより府中市では初めてとなる「ヤングケアラーの実態把握のための調査」を実施予定です。その結果をもとに、ヤングケアラーに対する効果的な支援について検証し、全国への普及を目指します。
ヤングケアラーの現状と課題
ヤングケアラーは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話など、本人の年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで生活や学業へ影響があることから、実態の把握及び支援の強化が求められています。ヤングケアラーの発見から支援の提供までには以下のような課題があります。
①見つからない | ヤングケアラーであることの本人、周囲の自覚がない |
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②支援につながらない | 医療・教育・福祉の現場の連携が不十分、支援体制が確立されていない |
③支援制度がない | 上記から実態の把握が難しく、適切な支援制度が存在しない |
府中市とのヤングケアラー支援自治体モデル事業の内容
府中市で初となるヤングケアラーを見つけるための「ヤングケアラー実態調査」のほか、見つけたヤングケアラーを支援するためのヤングケアラーコーディネーターを配置した相談対応、支援策強化のための他機関連携の研修会などを行います。なお、助成資金については、若年認知症の親と向き合う子ども世代への当事者交流(ピアサポート)事業や、ヤングケアラーに関する講師派遣事業等の実績を持つ一般社団法人ケアラーワークスに対し初年度15,580,000円を助成します。
ヤングケアラーとその家族に対する包括的支援推進自治体モデル事業の概要
ヤングケアラー支援については、厚生労働省より2022年4月にヤングケアラー支援体制強化事業実施要綱が定められましたが、その運営の担い手は自治体に任されています。日本財団では、府中市をはじめ、既に協定を締結している長崎県大村市、愛媛県新居浜市の計三つの自治体とのモデル事業を実施することで、ヤングケアラーを早期発見・把握し、適切な支援先につなげ、支援を提供することを目指しています。2023年度は、自治体モデル導入前後の比較検証を行い、24年度以降は、自治体や助成団体と共に、成果検証を毎年行うほか、「みつける」「つなげる」「支援する」の各部分強化に向けた検討を行っていきます。日本財団では自治体モデル事業を通し、ヤングケアラー支援に関する普及啓発、ネットワーク構築を進め、最終的にはヤングケアラーとその家族を支援するための政策提言に繋げていく予定です。
登壇者コメント
日本財団 理事長 尾形 武寿
様々な濃淡はあれど、子どもが生活の中で、大きな重荷を背負っている状況があります。その子どもに対して、誰かが手を差し伸べなければ、子どもの生活は安定しません。本モデル事業を日本中に発信することで、様々な自治体に対して自分たちも取り組んでいこう、と感じてもらえたら。本事業を通じて、子どもたちが子どもらしい時間を過ごし、その家族も安心して暮らせる社会が実現することを期待しています。
府中市長 高野 律雄
子どもを取り巻く環境が大きく変化する中で、ヤングケアラーに対する支援は社会的な関心を集める重要な課題であり、本市においても、昨年度から実態把握調査やコーディネーターの配置を検討しておりました。本事業を通じて、ケアラーワークス様と緊密に連携を図り、子どもたちの健やかな育ちを支えるとともに、他の自治体からも手本としていただけるような包括的な支援策の構築を目指してまいります。
一般社団法人ケアラーワークス 代表理事 田中 悠美子
ケアをしている子どもや若者、そして、ケアを必要としているご家族が「話をしてよかった」と安心してもらえるように、しっかりと思いに寄り添い、声に耳を傾けていきたいです。また、多様な立場の人や団体が共にスクラムを組み、一丸となって、ケアラーにやさしく、より魅力的で暮らしやすい府中市になることを目指してモデル事業を実施していきます。
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