マネロン対策などで規制強化呼びかけ
国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)のラジャ・クマール議長は18日、トラベル・ルールなどFATFの提唱する国際基準を、暗号資産(仮想通貨)セクターで遵守徹底させるべきとする内容の文書を発表した。
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文書は「仮想通貨の無法地帯に終止符を」というタイトルである。G7(主要七か国)に対しても、マネーロンダリングやテロ資金調達などと闘うために、世界基準となるFATF勧告を完全にかつ効果的に実施するべきと述べている。
FATFは、マネロン対策などを監督する国際組織だ。提示する勧告自体に法的拘束力はないが、加盟国に対して審査を実施し非協力国リストを公開するため、大きな影響力を持つ。
G7を含む37カ国・地域と2地域機関がFATFに加盟しており、FATF勧告は、世界200以上の国・地域に適用される。
FATFは特に、仮想通貨送金時の情報共有を定めるトラベル・ルールを設定しており、日本でも2022年10月から本格的に施行されているところだ。
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トラベル・ルールとは
FATF(金融活動作業部会)が提唱するマネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールのこと。暗号資産サービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
▶️仮想通貨用語集
「G7は模範を示すべき」
クマール議長は、FATFの勧告が多くの地域で施行されていないとして、次のように呼びかけている。
一部のG20諸国を含む、73%の国は依然としてFATF基準に準拠していないか、部分的にしか準拠しておらず、仮想通貨活動の監督をまだ始めていない。この状況は容認できないものであり、早急に対処しなければならない。
背景として、ランサムウェア攻撃が近年増加しており、多くのケースで身代金が仮想通貨により支払われていると説明した。その他にも、仮想通貨は制裁回避や、テロ資金調達などにも使用されると続けている。
こうした状況で、G7諸国は「模範を示し、違法な金融取引が安全に行われるような場所が存在しないように仮想通貨セクターを規制すべき」と述べた。
ランサムウェアとは
ハッキングを仕掛けたうえで、元の状態に戻すことを引き換えに金銭を要求するマルウェアのこと。「身代金要求型マルウェア」とも呼ばれる。感染すると、他人の重要文書や写真ファイルを勝手に暗号化したり、PCをロックして使用を制限した上で、金銭を要求してくる。。
▶️仮想通貨用語集
一方でG7側も、FATFに対して取引所間の取引だけでなく、個人間取引にも規制を広げることを検討するよう要請する構えだと伝えられるところだ。
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FATFは2月の総会で、仮想通貨セクターにおけるマネロン・テロ資金調達対策(AML/CFT)を加速することに合意している。
国際協力メカニズムや、当局が仮想通貨取引を追跡して不正資金を回収するためのツールの必要性なども強調した。
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