母国の戦火を逃れ、県内で避難生活を送るウクライナ人の男女が結婚し、4月に同胞や日本の支援者らによるサポートを受け、手作りの式を挙げた。遠い異国の地で、多くの人から祝福を受けた2人は、「戦争が終わったら、必ずウクライナの家族の元に戻り、日本の文化やいいところを伝えたい」と感謝している。
新郎新婦は、ウクライナ西部リビウ出身のユーリー・モロズさん(43)と、南東部ベルジャンシク出身のナタリア・クリメンコさん(35)。式は4月29日、日本経済大学(太宰府市)のカフェテリアで開催された。
タキシード姿のユーリーさんと、支援者から贈られた純白のドレスをまとったナタリアさんが腕を組んで入場すると、ウクライナの仲間たちがフラワーシャワーで祝福した。
2人は、ウクライナ語と日本語で「生涯ともに生きていくことを誓う」などと書かれた結婚証明書にサインし、手を合わせてウェディングケーキに入刀。ウクライナ国旗と同じ青と黄を基調としたブーケも用意され、ブーケトスも行われた。
結婚式は、心理カウンセラーの団体でつくる「全国心理業連合会」(全心連)が企画した。全心連は日本でウクライナ避難民を受け入れ始めた昨年春から、避難民への心のケアの一環として、食事会などのイベントを開催。日本語指導や就労支援も行っている。
ユーリーさんは、侵略が始まる前から国外で働いていたため徴兵されず、昨年5月に来日した。東京での全心連のイベントに参加しており、その後、仕事を求めて福岡に転居した後も関係者と交流を続けてきた。一方、将来を約束していたナタリアさんも避難民として来日し、今年2月に2人は福岡で結婚した。
式には、福岡などで暮らす避難民約20人のほか、日本の支援者も大勢駆けつけた。ユーリーさんは「日本で結婚することができて、本当に忘れられない日になった」。ナタリアさんも「こんなに楽しい気持ちになると思わなかった」と笑顔を見せた。ただ、指輪の交換は、戦争終結後に、ウクライナの両親の前で行いたいとして見合わせた。
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結婚式は、九州の避難民同士をつなぐ狙いもあった。会場にはウクライナ料理が用意され、参加者は食事をしながら会話に花を咲かせ、新郎新婦に向けた歓迎の歌にも加わった。日本経済大の避難学生、ソフィア・ユルチェンコさん(20)は「日本人も一緒に歌って踊って、とても楽しかった」と振り返った。
東京を拠点に活動している全心連が、福岡でイベントを開催したのは今回が初めて。浮世満理子代表は「避難民は断続的に来日しており、母国で戦闘を目撃してトラウマが強く出る人も多い。心のケアには、日本では誰からも傷つけられず、安心できることを実感してもらうことが必要。これからも、福岡で支援の場を設けていきたい」と話す。
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