去年7月に熱海市で発生した大規模な土石流をめぐり、犠牲者の遺族や被災者など110人あまりが、「熱海市は盛り土が崩落する危険性を認識していたのに適切な指導を行わず、県も市に是正を求めなかった」などと主張して、5日、市と県に対し、64億円あまりの賠償を求める訴えを起こしました。
静岡地方裁判所沼津支部に訴えを起こしたのは、去年7月に熱海市で発生した大規模な土石流の犠牲者の遺族や行方不明者の家族、それに被災者のあわせて113人です。
原告らは、盛り土の造成をめぐる熱海市の対応について、神奈川県小田原市の不動産会社から造成の届け出が出された際、多くの項目が空欄だったのにそのまま受理した上、盛り土が崩落する危険性を認識していたのに、防災工事などを求める措置命令を出さなかったとしていて、土石流の発生当日についても、前兆現象を認識したにもかかわらず、事前に避難指示を出さなかったなどと主張しています。
また、当時の県の対応については、熱海市に対して届け出の記載を補充したり、措置命令を出したりするよう是正を求めなかったなどと主張して、市と県に対し、64億円あまりの賠償を求めています。
土石流の被害をめぐっては、これまでに遺族や被災者など84人が、不動産会社の元代表や今の土地所有者などに対して58億円あまりの賠償を求める訴えを起こしていて、今後、市や県に対する裁判とあわせて審理される見通しです。
提訴のあと、原告と弁護団が会見を開きました。
遺族や被災者でつくる「被害者の会」の会長で亡くなった瀬下陽子さん(当時77)の長男の瀬下雄史さん(54)は、「行政に不備や過失があったと議論が尽くされて事実が明らかになったタイミングで提訴に踏み切りました。真相究明と責任追及をしっかりやっていくことで、同様の被害を二度と繰り返さないための抑止力にしていきたい」と話していました。
また、土石流で長女の西澤友紀さん(当時44)を亡くした小磯洋子さん(72)は、「熱海市はなぜ時間が十分にあったのに、避難指示を出さなかったのか。犠牲者はみな変わり果てた姿で見つかり、私は娘に触ることも抱きしめることもできませんでした。本当に許せません」と涙を浮かべて話していました。
熱海市の斉藤栄市長は「訴状が届き次第、熱海市としての対応については検討していくことになりますが、引き続き伊豆山の復旧復興に全力を尽くしてまいりたい」とコメントしています。
川勝知事は「訴状が届いていないため、県の主張内容などについては、今後検討していくが、ご遺族や被害者の皆様のお気持ちを真摯に受け止め、誠実かつ適切に対応していく」とコメントしています。
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