Wednesday, September 28, 2022

リンクトインがユーザー2000万人に対し行れたアルゴリズム実験に対し、専門家はその倫理性に議論中 - Esquire(エスクァイア 日本版)

今月2022年9月、LinkedIn(リンクトイン)の研究者たちは同社が5年を費やして得た研究データを、アメリカ科学振興協会 (AAAS)によって発行されている 学術雑誌「サイエンス」で発表しました。このデータは、2000万人以上のユーザーを使って静かに執り行われたものということです。

その内容は…ビジネスに特化したプロフェッショナルたちのネットワーキング用プラットフォームであるリンクトインが、アルゴリズムを微調整することによって「知り合いとつながるか? もしくは完全に見知らぬ他人とつながるか? のどちらのほうが、より多くの仕事のオファーが来るかどうか?」という「A/Bテスト」を行っていたということ。

さらに詳しく言えば、ユーザー間のつながりの強さを送り合ったメッセージの量や共通の友人の数などを通じて、「強い」か「弱い」か? 「もとからの知り合い」なのか? 「見ず知らずの他人」なのか? で比べ、ソーシャルメディアのプラットフォーム上でつながった後に時間をかけていかに変化するか? までを調査したということ。そうした調査を行ったという事実は、リンクトイン側の研究者たちの発表によってわかったこと。つまりリンクトイン側は、この調査に関して全く問題のないことと判断しているようです。「“過去100年で最も影響を与えた社会理論”と言われる、雇用の流動性を裏づける理論」として発表しています。

その理論とは、「ユーザー同士が持っている『つながり』が弱いほど、よりいい仕事を求めて移動する(離職する)確率が高くなる」というもの。その結果によってリンクトインは、「一部の求職者に対して、“あなたが知っているかもしれない人たち(People You May Know)”がより多く表示されるようアルゴリズムを変えた」としています。

ここに懸念を抱いた専門家たち。その最大のポイントは、「リンクトインが分析したユーザーの誰もが、研究に参加していることの関して直接的に知らされていなかった」ということであり、これは「一部の人々の生活に影響を与えたかもしれない」と「ニューヨーク・タイムス(New York Times)につづられています。

そこで米国マーケット大学のコンピューター・サイエンスの准教授マイケル・ジマー氏は、「このリサーチ結果は、一部のユーザーがより良い仕事の機会へアクセスができたこと、もしくは(そうでなかった一部のユーザーが)仕事の機会へのアクセスに有意差をつけられたこと」を示唆していると、同「ニューヨーク・タイムス」の記事内で語っています。

linkedin headquarters building
リンクトイン本社。カリフォルニア州サニーベール

Steve ProehlGetty Images

リンクトインが発表したA/Bテストに対する懸念

「ニューヨーク・タイムス」がこのように報道する中、この研究の共同著者でリンクトインのデータ・サイエンティストであるカーシック・ラジクマール氏(Karthik Rajkumar)は科学技術サイト「アルステクニカ(Ars Technica)」に、「『ニューヨーク・タイムス』が行った報告は、『A/Bテストとデータ自体のもともとの観察』を混同し、ユーザーに対して行った実験のように感じさせ不正確です」と語りました。「われわれの『People You May Know』のA /Bテストは、より関連性の高いつながりのおすすめ表示を改善するためであって、仕事の成果を調べるためではありません」とコメントしています。

今回の研究に携わったラジクマール氏は『アルステクニカ』に対し、「この調査の期間ずっと、われわれは常にユーザー同意書、プライバシーポリシー、そしてユーザー設定に忠実に行動していました。どんなポイントにおいても個々のユーザーの追加情報を見つけようとはしていませんし、『People You May Know』のテストは最も有益な人をすべてのユーザーに提供することがわれわれのもっぱらの目的です。それに私たちは利用規約文の研究セクションを通じて、常にわれわれのユーザーに対して透明性を保っています」とさらに語っています。

この説明に納得するかしないかは別として、利用規約、個人情報保護、プライバシーポリシー、ユーザー同意書をスクロールして「同意します」をクリックするその前に、あの細かい文字を読み込む作業がこれからは欠かせない作業になりそうです。

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からの記事と詳細 ( リンクトインがユーザー2000万人に対し行れたアルゴリズム実験に対し、専門家はその倫理性に議論中 - Esquire(エスクァイア 日本版) )
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