季節行事の風習って、意外と地域によって違うものだけど、自分の出身地から出てみないと気づかないこともしばしば。
ひな祭りに私の出身地である長崎県では、「桃カステラ」というお菓子を食べる風習がある。長崎県民、カステラ好きすぎるだろう。
非常にかわいらしいお菓子で最近はSNSなどで話題になることも多いのだが……。
・縁起菓子「桃カステラ」
「桃カステラ」とは桃の形をしたお菓子で、スポンジ生地の上にすり蜜をかけて桃の実の形に仕立てられている。
「カステラ」と名前がつくものの、生地はカステラではなくスポンジケーキのようなフワフワしたものを使っているお店も多い。
生地のうえには、たっぷりと甘いすり蜜(アイシングみたいなもの)がかかっている。ちなみに桃は入っていないし、桃の味もしない。
見た目が愛らしく、桃の節句ともいわれるひな祭りにはピッタリのお菓子である。
・ポルトガル×中国×長崎
鎖国中も中国やヨーロッパと交易をしていた長崎。桃カステラは日本・中国・ヨーロッパの文化が混ざったお菓子でもある。
そもそも古来から中国では「桃の実」を仙果として不老長寿のおめでたい果物としている。中国の陶器のデザインなどで桃の絵が描かれるのはそういう理由である。
そして、カステラはポルトガルの宣教師たちが長崎に伝えたと言われているお菓子だ。
そこに、3月3日に桃の節句をお祝いする日本の風習が合わさって、おめでたいお菓子として「桃カステラ」が生まれた……という感じか。
・知名度が上がってきているが…
ローカル縁起菓子だった「桃カステラ」だが、SNSの発達で県外の人たちの間で「かわいい」と話題になり知名度が上がってきている。
「桃カステラ食べてみたい」と県外の人に言われることも多いのだが、長崎県民的には勧めていいものかちょっと躊躇する。
たしかに桃カステラは可愛らしいし縁起のいいお菓子なのだが……
めっちゃくちゃ甘いのだ。
考えてもみてほしい、甘いスポンジケーキの上に甘いすり蜜がたっぷりかかっているのだ。そら甘いよ。
昔は砂糖は豊かさの象徴だったし、縁起物として飾ったりするから保存のためにたっぷり砂糖を使うわけだが、それにしたって甘い。
そして、桃カステラは大きいものだと成人男性手のひらくらいある。食べきれないのである。そんなわけで、子供の頃はちょっと桃カステラは苦手だった。
・最近は変化も
ちなみに、最近はちょっと現代風になって、小分けにして配りやすい小さなサイズの桃カステラも増えた。
上にかかっているすり蜜の量もちょっと減ったし、下のスポンジ生地も甘さ控えめになったりとずいぶん食べやすくなったのである。
とはいえ、県外の人にしたらけっこうな甘さだと思うので、購入の際は小さなサイズをオススメしておきます……!
長崎県外だと、アンテナショップなどで入荷していることもある。健康と幸福を願って、桃カステラをご賞味あれ。お供には熱めのお茶がおすすめですぞ。
参考リンク:文明堂総本店
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
2024-03-02 15:00:45Z
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