ダブルメジャーを持つことは、一部の労働者を解雇やAIによって生じる離職から守るのに役立つ。
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- 新しい論文によると、2つの専攻を持つ「ダブルメジャー」は失業などの金銭的な危機を経験しにくい。
- 多様なスキルセットで持つことは、労働者がAIの未来に適応する助けにもなるだろう。
- 「ダブルメジャー」はここ数十年で人気が高まっている。
大学での2つの専攻を持つ「ダブルメジャー」は、履歴書を充実させる以上の効果があるかもしれない。AIによって不確実性が増した未来においてもダブルメジャーがあることで仕事の安定性を高めることができるのだ。
これは全米経済研究所(NBER)が2024年1月に発表した論文によるものだ。スタンフォード大学とオハイオ州立大学の教授を含む著者たちは、2009年から2019年にかけて実施されたアメリカン・コミュニティ・サーベイ(American Community Survey)のデータを分析した。
彼らの重要な発見は、ダブルメジャーの人は、シングルメジャー(専攻が1つ)の人に比べて、失業や減給といった要因に関連した収入の変化、「アーニングショック(earnings shocks)」 を経験する可能性が56%低いということだ。
「ChatGPTのような新たなAIのテクノロジーが仕事の一部、あるいは仕事全体を置き換えるかもしれない未来において、ダブルメジャーの人はより良いポジションにいられる可能性がある」と、オハイオ州立大学の消費者科学の准教授で、この研究論文の主執筆者であるアンドリュー・ハンクス(Andrew Hanks)はEメールを通じてBusiness Insiderに語った。
「我々の調査結果は、ダブルメジャーを持つ人は、シングルメジャーを持つ人と比べ、より幅広いスキルを持ち、より幅広い職種に就く傾向があることを示している。より広範なスキルセットを活用することで市場に適応して競争力を維持できるため、ダブルメジャーは、AIがもたらす影響へのより早い適応に役立つかもしれない」
ダブルメジャーがなぜ労働者を保護するのかは具体的にはわかっていないが、研究者たちは彼らの多様なスキルと関係しているのではないかと推測している。
オハイオ州立大学の経済学教授であるブルース・ワインバーグ(Bruce Weinberg)は、「特定の職業や産業に集中してしまうシングルメジャーと比較し、ダブルメジャーは、特定の職業や産業が原因となるアーニングショックから距離を置ける柔軟性がある」とEメールでBusiness Insiderに述べた。
「例えば、テック企業がコンピューターサイエンス専攻の卒業生の給与を削減したとしても、政府部門で働くコンピューターサイエンス専攻のダブルメジャーの卒業生は全く影響を受けない」
ダブルメジャーが一般的になる
ダブルメジャーは、労働者がアーニングショックを避けるのに役立つだけではないかもしれない。2021年に発表されたペンシルバニア大学の研究論文によると、ダブルメジャーの人はキャリアを通じてより多くの収入を得る傾向があり、またSTEM(科学、技術、工学、数学)とビジネスを専攻したダブルメジャーの人は最も収入が増加したという。
ここ数十年の間にダブルメジャーの人気は高まっている。アメリカの教育省(Department of Education)によると、2000年から2008年の間にダブルメジャーの学生の割合は約6%と倍増した。アメリカン・コミュニティ・サーベイのデータによると、2015年の時点で20歳から29歳までのアメリカ人の約13%がダブルメジャーで、研究論文で対象とされた人の約10%がダブルメジャーだった。
2つの科目を専攻することは、学生によってはストレスになり、費用もかさんでしまう。しかし、AIツールが職場でより一般的になる未来への備えに役立つのならば、ダブルメジャーは多くの学生にとって価値のあるものになるだろう。
Z世代は、上の世代と比べてAIツールを使用している可能性が高いが、それでもまだこれらのテクノロジーに懸念を抱いている。2023年秋のリンクトイン(LinkedIn)の調査では、Z世代の45%がAIについて十分な知識がないと不安だと回答している。
からの記事と詳細 ( 2つの専攻分野を持つ「ダブルメジャー」が一般的になる?…レイオフやAIの脅威に対して有利に - Business Insider Japan )
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