人気お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんが、性的な被害を受けたとする女性の証言を掲載した週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、損害賠償などを求めている裁判が始まり、出版社側は、「複数回の取材を重ね、真実と確信している」などとして全面的に争う姿勢を見せました。
去年12月発売の週刊文春は、9年前に松本人志さんから都内のホテルで性的な被害を受けたとする女性2人の証言を報じました。
これに対し松本さんは「性的行為を強要したという客観的証拠は存在しないのに、記事で名誉を傷つけられた」として発行元の文藝春秋と編集長に慰謝料などとして5億5000万円の損害賠償と記事の訂正を求める訴えを起こしています。
この裁判が28日東京地方裁判所で始まり、文藝春秋側は「女性に対して複数回の取材を重ね証言の信用性について慎重に検討したうえで松本さんに対する取材も経て確信した。同意のない性的行為は真実だ」などと訴えを退けるよう求め、全面的に争う姿勢を見せました。
松本さん側が、具体的な主張をするために女性の名前や住所、本人の写真を求めたのに対し、文藝春秋側は「女性は、SNS上で嫌がらせを受けている」などとして回答できないと答えました。
松本さんは28日は法廷には来ませんでしたが、代理人の弁護士は「本人尋問が行われることになれば、出廷を拒否することはない」と話しています。
訴状と答弁書に基づく、それぞれの主張です。
松本さん側は記事について、「性的行為を強要した客観的証拠は存在しないにもかかわらず、一方的な供述だけが取り上げられていて、極めてずさんな取材活動に基づくものだ」と訴えています。
そして、「性的加害が大きく社会問題化している中、女性をあたかもモノとして扱っているかのような印象を与える記事は、世間の注目を集め、社会的評価を低下させた。多くのファンの信頼を失いテレビ番組の出演を休止せざるを得ない状況となり精神的損害を受けた」と主張しています。
そのうえで、争点となることが予想される記事の真実性などについては「おって主張する」としています。
一方、文藝春秋側は「女性に対して複数回の取材を重ね証言の信用性について慎重に検討したうえで松本さんに対する取材も経て確信した。松本さんが複数の女性に対し同意を得ることなく性的行為をしたことは真実だ」と主張しています。
また、「社会的強者による性加害が社会問題化している最近の流れを考えると、記事は、名実ともに日本の芸能界のトップに君臨する松本さんが女性の尊厳や人権を無視する言動を行ったことを報じるものとして、公共の利害にかかわる」としています。
そのうえで松本さん側に対し、記事のどの部分が事実に反するのか明確にするよう求めています。
名誉毀損の裁判に詳しい佃克彦弁護士は、松本さんや被害者とされる女性が法廷でみずから説明するかどうかなどが裁判のポイントになると話しています。
佃弁護士は裁判の争点について、「99%、書かれた記事の真実性、または真実相当性になる」と話します。
週刊文春の記事が真実かどうか、または真実だと信じるような相当な理由があったかどうか、という意味です。
佃弁護士は松本さん側の今後の主張について「記事で書かれた食事会があったかどうかを争うのか、それともそこで行われた行為を争うのかによって立証のしかたが変わる。行為が争点の場合、松本さん本人の供述は重要になる」と述べています。
松本さんが法廷で証言する可能性については「厳しい質問も予想されるので松本さん側からは申請しないと思うが、文藝春秋側が申請して裁判所が認める可能性はある」と話します。
一方、文藝春秋側については「可能な限りの取材を尽くして、集めた資料に照らして記事が合理的な内容であれば真実相当性があるとされ、違法とはならない」と指摘します。
今後の立証について、「取材源を表に出すことは難しいと思うが、被害者とされた女性が証人として出るかどうかが大きく影響する。当事者どうしのLINEのやり取りなど、被害者の話を支える客観的な証拠が出てくるかも重要だ」と話しています。
裁判にかかる期間については、このような名誉毀損訴訟の場合、一般的には1年半から2年ぐらいはかかると話していました。
2024-03-28 08:23:00Z
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