[東京 3日 ロイター] - 国土交通省は3日午後、羽田空港で前日に衝突した日本航空(JAL)(9201.T)機、海上保安庁の航空機と管制官との交信記録を公表した。同記録では、管制官は海保機に滑走路手前の停止位置まで進むよう指示をしているが、滑走路内への進入や離陸を許可した形跡はない。一方、JALは機長らが海保機を視認できなかったと話していることを明らかにした。
海保幹部によると、海保機機長は「管制官から滑走路への進入許可を受けた上で進入した」と話しているという。機長は集中治療室で治療中の状態だが、医師の許可を受けて短時間でヒアリングした。
しかし、同幹部と航空局幹部は記者団に対し「交信記録を見る限り、海保機の滑走路への進入許可に関するやりとりは確認されていない」と説明した。
交信は英語でやり取りしているが、国交省は日本語の仮訳も公表。管制官は午後5時44分56秒、JAL機に「滑走路34R着陸支障なし」と伝達し、着陸許可を出した。同45分11秒、海保機に「C5上の滑走路(手前の)停止位置まで地上走行してください」と指示している。海保機は同45分19秒に「滑走路(手前の)停止位置C5に向かいます」と応じている。
航空局幹部は、交信記録を見る限りJAL機への着陸許可は出ていたとする一方、海保機に対しては「滑走路進入・離陸許可に相当するものはない」と語った。もしその許可が出た場合、機長は指示を復唱するのが通常だが、機長による「復唱もなかった」という。その上で、「正式な判断は運輸安全委員会にゆだねるが、私見としては管制側の指示は適切と思う」と述べた。
運輸安全委は前日のうちに調査官6人を羽田空港に派遣し、きょうも機体を調査した もっと見る 。海保幹部によると、海保機のボイスレコーダーは運輸安全委が回収した。
会見した斉藤鉄夫国交相は公表した交信記録について、「客観的な資料を提出した」と説明。「事故原因の究明につながる1つの材料になると思う」と語り、運輸安全委の調査に全面的に協力する考えを示した。
3日夜に会見したJALの堤正行常務執行役員は、同社機の機長ら3人の運航乗務員から海保機を視認できていなかったとの報告を受けていると明らかにした。堤氏は視認時の条件として「昼間と夜間の差、大型機と小型機の差、どこに視点を合わせているかを含めて様々な要因があると思っている」と語った。海保機のどこに衝突したか、火元も分かっていないという。
国交省によると、事故は2日午後5時47分ごろ発生。羽田空港に着陸したJAL516便が、C滑走路上で海保のMA722固定翼機と衝突した。JAL機の乗客・乗員は379人全員脱出。海保機は機長1人が脱出したものの、残る5人は死亡した。 もっと見る 。
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