Tuesday, January 9, 2024

授業時数の認識にギャップ 教員「多い」、国民「ちょうどよい」 - 教育新聞

 小中学校教員の半数が子どもたちの学習量や授業時間数が多いと感じているのに対し、保護者を含めた国民の多くはちょうどよい量だと考えている――。文部科学省が昨年12月に公表した義務教育に関する意識調査で、こうした結果が出た。義務教育で必要だと考えられる学習量を巡り、教員と国民の間での認識の違いが浮き彫りとなった。

 調査は義務教育の課題を把握し、今後の政策立案に役立てるために実施した。昨年1~2月、全国から無作為で選び出した公立の小学校60校、中学校58校の教員や子どもたちを対象として、義務教育に期待する役割や学習に対する認識などを尋ね、教員計2449人(回答率82.2%)と児童生徒計3万5310人(同81.5%)の回答を得た。この他、インターネットを通じ、保護者を含めた8987人の成人の一般国民にもアンケート調査を行った。

 調査では、教員、小4~中3の児童生徒、一般国民に対し、学校での子どもたちの学習量と週当たりの授業時間数について、「多すぎる」「やや多い」「ちょうどよい」「やや少ない」「少なすぎる」の5択で尋ねる質問を設けた。この結果、学習量については教員の12.0%が「多すぎる」との認識を示し、「やや多い」の36.0%を加えると半数近くに達した。「ちょうどよい」は43.9%だった。

 授業時間数に関しても、教員の回答は「多すぎる」「やや多い」の合計が50.3%と過半数を占めた。校種別で見ると、こうした問題意識を持っている教員は小学校の方が多く、学習量については53.3%、授業時間数に対しては58.0%が「多すぎる」または「やや多い」と回答した。

 これに対し、一般国民の回答は異なる傾向を示した。学習量が「多すぎる」と答えたのは3.8%にとどまり、「やや多い」の17.7%を合わせても約2割にとどまった。最も多かった回答は「ちょうどよい」で、61.9%に達した。授業時間数に対する認識も同様で、「多すぎる」「やや多い」が計24.8%だったのに対し、「ちょうどよい」が55.3%と最多を占めた。

 学習の当事者である子どもたちの受け止めは、教員と一般国民の中間に位置する結果となった。学習量については33.0%、授業時間数に関しては37.4%が「多すぎる」「やや多い」と答える一方、いずれも約6割が「ちょうどよい」との認識を示した。ただ、回答傾向には学年ごとにばらつきがあり、中1と中2は学習量、授業時数ともに「多すぎる」「やや多い」との回答が約4割に達した。

 小中学校の学習量や標準授業時数は、「ゆとり教育」と呼ばれた1998年の学習指導要領の改訂に伴って大きく削減された。しかし、学力低下に対する懸念や小学校への英語教育の導入などにより、その後の2度の改訂では増加基調にある。

 今回の調査では、教員の負担軽減や待遇改善に対する一般国民の認識も調べた。「教師の業務負担が軽減され、必要なプライベートの時間を確保できるようにするべき」との考えに対する賛否を聞いたところ、「とてもそう思う」と「少しそう思う」を合わせた肯定的な回答が69.2%に達した。「オンラインでも効果を得られる業務は在宅勤務を認めるべき」「中学校における1クラスの人数を全国一律に小さくするべき」「教師の給与水準を改善すべき」といった項目でも、肯定的な回答が過半数を占めており、学校の「働き方改革」に対しては、おおむね前向きな国民が多いという結果が示された。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 授業時数の認識にギャップ 教員「多い」、国民「ちょうどよい」 - 教育新聞 )
https://ift.tt/UTBwuFM
Share:

0 Comments:

Post a Comment