吉武英行 五感の旅
2023年4月3日
魅力あるウエディングのプロデュースが必要だ |
数年前から顕著に表面化してきているが、レストランやハウスウエディングの急増により、全国のホテルウエディングの受注件数は激減した。そもそも日本ではホテルウエディングは存在していなかったので、元に戻ってきたとも言えなくはない。
近年になってレストランウエディングが急増したが、日本では元々ハウスウエディングが主流だった。無論、昔は自分の家で行われるのが普通だった。ホテルで行われるようになったのは、自然災害史上最大の人命を失った関東大震災後で、軟弱な地盤にもかかわらず優れた耐震設計で難を逃れた帝国ホテルライト館が、「永島式結婚式」を導入したことに始まる。
帝国ホテルが日本初の一貫した結婚式の原型をつくり上げたのは、今から90年以上も前のことだ。当時の写真を見る機会があったが、私たちは1世紀近く前に帝国ホテルが開発したホテル結婚式を、今でも抵抗なく続けているということになる。時代の流れを読むなら、人々は必ずしも使い古した流行に満足はしない。人心がレストランやハウスウエディングに傾倒していったのはむしろ遅過ぎるくらいだ。
ホテルは今こそ、本当に魅力ある商品とホスピタリティーを組み合わせ、ウエディングの受注に力を入れるべきだ。大方のホテルは運営理念に「地域社会に貢献」とうたっているが、結婚式は地域貢献に一番良い商品ではないか。本来自宅でやるべきものを設備の整った地元のホテルでやっていただく。お客さまの望む通りのものをやって差し上げる。予算のある人、ない人。形式を重んじる人、重んじない人。食事にこだわる人、こだわらない人−。
お仕着せではないウエディングは、ホテルマンなら必ずプロデュースできる。90年前の帝国ホテルに“おんぶに抱っこ”だけではだめだ。
(ホテル・旅館プロデューサー)
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