Monday, October 3, 2022

イノベーション戦略ではなく、インキュベーション戦略を薦める理由 - 日経ビジネスオンライン

 前回「オープンイノベーションをブームで終わらせないための処方箋」までに策定してきた内容を踏まえて、自社の経営資源を何に対していくら投資するかを検討し、適切なポートフォリオを組みます。つまり、さまざまな領域やテーマ、アプローチに対してバランスよく経営資源を分配することで中長期的に再現性の高い新規事業開発の実現を目指すのです。ここで、ビジョンに基づく新規事業開発の方針と戦略が定まり、経営トップから全社や必要なステークホルダーに対して発信していくストーリーが完成します。

 どの企業にも当てはまる最適なバランスや方程式は存在しません。自社の保有する経営資源や特徴・性質、産業や業界などの外部環境のさまざまな影響を考慮しながら自社にとって最適なポートフォリオを模索していくことになります。

 また、一度決定したバランスで投資した後でも、進捗や成果を見ながら常に見直しや調整をかけていくので、筆者はまず、比較的保守的な組み方からスタートすることを推奨しています。それでは、具体的な論点についてみていきましょう。

・新規事業の領域におけるポートフォリオを組み、不確実性に応じて分散する

 新規事業における各領域=隣接領域・周辺領域・革新領域の各々に対してどのようなバランスで投資するかを検討します。この3つの領域はそれぞれ以下のような性質を持ちます。

隣接領域:ローリスク・ローリターン=規模は小さいが時間軸は短期
周辺領域:ミドルリスク・ミドルリターン=規模も時間軸も中程度
革新領域:ハイリスク・ハイリターン=規模も大きく時間軸は中長期

 隣接領域から革新領域に向かうほど、不確実性が高まり時間軸が長くなる一方で、成功した際のリターンや規模が大きくなります。この3つの領域でポートフォリオを組む場合は、隣接領域(50~60%)、周辺領域(20~30%)、革新領域(10~30%)などが1つの目安になりますが、ここでも自社に合った最適なバランスをケース・バイ・ケースで策定します。

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