全自動式洗濯機が各家庭に普及している時代だというのに、昔ながらの二槽式洗濯機が密かに人気を伸ばしているという。後発で二槽式洗濯機市場に参入したメーカーのひとつである株式会社シービージャパンに、二槽式洗濯機市場の近況について聞いた。
二槽式洗濯機が再注目された理由は「分け洗い」と「時短」
洗濯容量3.6kgのシービージャパン ウォッシュマンTOM-05 w。コンパクトで場所をとらない。
1970年代に主流だった「二槽式洗濯機」。これは、内側が洗濯板状になった「洗い・すすぎ」を行う槽と「脱水」する槽が分離しているタイプの洗濯機だ。
雑貨や生活家電を手がける株式会社シービージャパンは、7年前に二槽式洗濯機「ウォッシュマン」を発売して以来製品改良を続け、現行の「TOM-05 w」は3代目モデルとなっている。同社の家電事業部長によれば、近年の二槽式洗濯機の売上げは上昇傾向にあり、その要因は「メインの洗濯機に入れる衣類と一部の衣類を分けて洗いたい」というニーズだという。
「核家族化が進んだ10年ほど前から二槽式洗濯機が再評価され始めました。この時期は、『とにかく時短したい』というニーズから、ボタン1つで料理が完成する調理家電やロボット型掃除機などが人気になった頃と重なります。二槽式洗濯機は、2つの槽で『洗い・すすぎ』と『脱水』をそれぞれ同時に行えるので、洗った衣類を脱水中に、ほかの衣類を洗えるというメリットがあります」(正治伸明氏、以下同)
二槽式洗濯機の場合、洗った衣類を洗濯槽から脱水槽に移し替える手間が生じる。だが、その手間よりも時短を優先する人にとっては、重宝するアイテムとなった。
同時に、二槽式洗濯機の人気を押し上げたのは、メインの洗濯機に入れる衣類と、一部の衣類を「分けて洗いたい」というニーズだという。
「じつは、タテ型やドラム式といったメインで使う洗濯機のほかに、サブとして二槽式洗濯機を持ちたいというニーズが高まっています。とくに、子どもが泥で汚してきた衣類や部活のユニフォームなどを、ほかの衣類と分けて洗いたいという主婦層からの声は多い。汚れがひどい衣類をメインで使う洗濯機に入れるのは気が引けますが、二槽式洗濯機なら汚れのひどいものを気兼ねなく放り込めるので、使い勝手がいいんです」
泥まみれのユニフォームも、ほかの衣類への汚れ移りを気にせず洗える。
汚れた衣類のほか、下着やペットマットなどの分け洗いにもオススメだという。また、二槽式洗濯機はツマミひとつですすぎや脱水の時間を調節できるので、直感的で操作も簡単。単純構造のため壊れにくいつくりなのもポイントで、スパイクや野球ボール、調理前のじゃがいもといった、服以外のものを洗っても問題ないそうだ。
「洗濯の仕方にこだわり、自分好みの仕上がりを求める人が増えてきたことも、二槽式洗濯機が人気になった背景にあると思います。ひと昔前に比べて、洗剤や柔軟剤の種類の幅は格段に増え、洗濯機にも『二度すすぎ』『おしゃれ着』といったモードが搭載されたり、水量まで設定できるようになりました。家族それぞれの洗濯へのこだわりをひとつの大型洗濯機で叶えるのは難しいですが、二槽式洗濯機なら『パパは加齢臭防止の洗剤で、娘はフローラル系の柔軟剤』といった具合に、分け洗いもしやすいですよ」
同時に、二層式洗濯機の需要を高めた背景には、現代人ならではの理由もあったという。
「核家族化が進んだ10年ほど前から二槽式洗濯機が再評価され始めました。この時期は、『とにかく時短したい』というニーズから、ボタン1つで料理が完成する調理家電やロボット型掃除機などが人気になった頃と重なります。二槽式洗濯機は、2つの槽で『洗い・すすぎ』と『脱水』をそれぞれ同時に行えるので、洗った衣類を脱水中に、ほかの衣類を洗えるというメリットがあります。二槽式洗濯機の場合、洗った衣類を洗濯槽から脱水槽に移し替える手間が生じますが、その手間よりも時短を優先する人にとっては、重宝するアイテムとなったんです」
さらにこのコロナ禍も、二槽式洗濯機の需要を押し上げた。洗濯機市場における二槽式洗濯機の台数構成比は、ここ20年ほどは1~2%と横ばいだったものの、コロナ禍以降は3~3.5%まで上昇。シービージャパンが扱うミニ二槽式洗濯機の売上げも1.5倍ほどに伸びたそうだ。
「コロナ禍で衣類の”除菌”を求める人が増えたからでしょう。ウイルス対策への意識が高まり、『満員電車に乗ったからすぐに上着を洗いたい』などと、もっと気軽に多く洗濯機を回したいというニーズがぐっと増えました。そのため、少ない量をササッと洗うにも便利な小型の二槽式洗濯機が注目された。このニーズはしばらく続くと思うので、今後も売上げアップを図っていきたいです」
操作が簡単で取り回しGOOD! 冬のニットのつけおき洗いにも活躍
メインの洗濯機を回しながら、二槽式洗濯機で時間のかかるニットのつけ置き洗いも行える。
1980年代、全自動洗濯機と入れ替わるように二槽式洗濯機はシェアを奪われていった。そのため、30代以下の読者は馴染みがなくてイメージがわかないかもしれないが、操作はいたってシンプル。使用時は、蛇口からホースをつないで洗濯槽に注水し、脱水もホースをつないで風呂場の排水溝などに流すだけ。
「洗い・すすぎ」「脱水」の時間設定はダイヤルで無段階で調整でき、埃は全自動洗濯機と同じく糸くずフィルターが回収してくれるので、お手入れも楽ちん。二槽式洗濯機を使った経験のない人でも、手軽に使用できる(※各メーカーによって操作方法は異なる)。
「おろしたてのジーンズや濃色のTシャツなど、色移りが気になる衣類の洗濯にもオススメです。たとえば『洗い・すすぎ』までの工程を二槽式洗濯機で分け洗いし、脱水はメインの洗濯機でほかの衣類と混ぜてもいい。色移りは、同じ水に長時間一緒に漬けてしまうことで起こるので、脱水時は色の濃いものと薄いものをまぜても色移りのリスクは抑えられます」
これからの季節によく着るセーターやニットのデリケート洗いにも、二槽式洗濯機の仕様を活かせるという。
「セーターやニットをほかの衣類と混ぜて洗濯機にかけてしまうと、すぐに糸がほつれやすく、傷みやすいですよね。その場合は、二槽式洗濯機の『洗濯槽』におしゃれ着用洗剤を使って10~20分ほど浸け置きすれば、あらかたの汚れは浮いてくるので、あとは優しくすすぐだけで大丈夫。脱水も長く行うと生地がよれることがあるので、1~2分ほどで十分だと思います」
汚れの落ち具合などに合わせて自分の手で稼働時間を調節することで、漠然と抱えていた洗濯の悩みも解決できそうだ。何につけても全自動がもてはやされるいま、あえて手間をかける意義は十分にあるのではないだろうか。
株式会社シービージャパン
文/清談社・田中慧
からの記事と詳細 ( 昭和の遺物と侮るなかれ!現代のニーズにドンピシャでハマる二槽式洗濯機の魅力|@DIME アットダイム - @DIME )
https://ift.tt/doh8NPt
0 Comments:
Post a Comment