Tuesday, October 18, 2022

現代の紛争、どう考える 日本人唯一のアウシュビッツ公認ガイド - 毎日新聞 - 毎日新聞

アウシュビッツ強制収容所跡地でガイドする中谷さん=佐野市民文化振興事業団提供 拡大
アウシュビッツ強制収容所跡地でガイドする中谷さん=佐野市民文化振興事業団提供

 ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の現場のひとつ、ポーランドの「アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所」跡の博物館で、日本人唯一の公認ガイドを務める中谷剛さん(56)の講演会が12月3日、高校時代を過ごした栃木県佐野市の市民文化会館で開かれる。テーマは「ポーランドに生きて、日本を想う」。中谷さんは「アウシュビッツの歴史を通じてナチがしたことを明らかにし、そして共生共存の道を築くため博物館がどんな活動をしているか紹介したい」と話している。【太田穣】

 主催は同市民文化振興事業団。中谷さんと20年来の親交がある事業団事務局長の出居博さん(62)が2年前から準備を進めてきた。事業団の公益財団化10周年記念事業として実施が決まると、2月にはロシアがウクライナに侵攻し、ポーランドにも大勢のウクライナ人が避難した。出居さんは「世界が大きく揺れている今、激動を間近に感じる中谷さんを招く意義はより大きくなった。中谷さんの人生観や人間性に触れてほしい」と話す。

 中谷さん自身は博物館職員として侵攻への直接の論評は難しい立場だが、第二次世界大戦前後のナチス・ドイツと欧州、旧ソ連の歴史をひもとき、理解の一助にしてもらいたいという。

 中谷さんは神戸市出身。父の転勤に伴い栃木県足利市に引っ越し、佐野高で学んだ。京都産業大を卒業後、会社勤めを経て97年にポーランドの国家試験に合格し、収容所跡の国立博物館で日本人初の公認ガイドに採用された。同博物館を訪れる日本人を案内し、アウシュビッツの歴史やホロコーストの悲劇を伝えている。

 講演に向け中谷さんは「ナチ・ドイツの強制収容所で起きたホロコーストは20世紀最大の悲劇と言われる。一方で、ウクライナでは今、『ナチ化を防ぐ』という理由で始まった紛争が続いている。私たちはこれをどう理解すればよいのか? 講演がその手助けになればと思う」とメッセージを寄せた。

 講演は「文化のつどい」のメイン行事。市民文化会館大ホールで、午後1時のオープニングコンサートに続いて行われる。入場無料。定員1200人で予約は不要。問い合わせは同事業団(0283・55・5666)へ。

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