Friday, November 11, 2022

[映画評]沢田研二の目に宿る生きものの「光」…中江裕司監督「土を喰らう十二ヵ月」 - 読売新聞オンライン

[映画評]沢田研二の目に宿る生きものの「光」…中江裕司監督「土を喰らう十二ヵ月」 - 読売新聞オンライン

 庭の畑を耕し、土の恵みを丁寧に料理して日々の糧にする。めぐる季節の一部として生きながら、思考をめぐらせ、物を書く――。窓から北アルプスをのぞむ信州の山荘で、1匹の犬と暮らす作家「ツトム」の1年間を、沢田研二が演じる。監督・脚本は、「ナビィの恋」「盆唄」の中江裕司。

 少年時代を禅寺で過ごし、精進料理を覚えた作家の水上勉(1919~2004年)による料理エッセー「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」などが原案。ツトムのモデルは明らかに、長野県の山荘での田舎暮らしを愛した水上だが、物語はフィクションだ。

 とはいえ、時間をかけて撮影された四季の風景と、素材の持ち味を生かした手料理の魅力、引力は半端なく、見ているこちらも季節の移ろい、命の循環の中に身を置いているような気分になってくる。大友良英による音楽もいい。冒頭から流れ出すフリージャズに面食らいつつ、心浮き立つ。

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2022-11-11 05:00:00Z
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