Wednesday, November 9, 2022

大学生も親世代も知らない、現代の就活を攻略する戦略的フレームワークとは? - Business Insider Japan

2010年代の半ばごろから度重なるルールの変更で企業にも学生にも混乱を来してきた就活事情。今や就活は、学生の親世代が経験したものとは全くの別物になっていると考えた方がいいだろう。

現代の就活をよく知るためにはその道を徹底的に調べ上げた「プロ」に話を聞くことが一番だ。『外資系投資銀行まで完全攻略 最強の就活フレームワーク ABUILD』(PHPエディターズ・グループ)の著者であり、NINJAPANの代表取締役である新井翔太氏は企業の採用活動をつぶさに調べ上げ、就活を学問のように体系化。Abuild就活としてキャリア構築サービスを展開している。現代の就活に詳しい新井氏に今知っておくべき就活事情を伺った。

数十社のエントリー、オンライン面接は当たり前

新井氏の写真

新井翔太(あらい・しょうた)氏/NINJAPAN代表取締役社長。甲陽学院中学・高等学校、京都大学総合人間学部、京都大学大学院人間・環境学研究科を卒業。米国投資ファンドでの長期インターンを経て、外資系投資銀行に入社。M&A・株式発行・債券引受等に携わり、数千億円・数兆円の案件に従事。外資系資産運用会社での勤務を経て起業し、Abuild就活を創設。『選ばれるな、選べ。即戦力内定 Abuild就活』のスローガンのもと、戦略就活のAbuildとして内定実績多数。著書に『外資系投資銀行まで完全攻略 最強の就活フレームワーク ABUILD』(PHPエディターズ・グループ)、共著に『ゆとり京大生の大学論』(ナカニシヤ出版)、監修に『スピード攻略WebテストTG-WEB ’24年版』(成美堂出版)がある。

この30年で、就活事情は劇的な変化を遂げている。現在の学生の親世代の就活といえば、履歴書は手書き、エントリーもハガキであったため、受ける社数は多くて10数社。縁故による採用も少なくなかった。しかし情報社会に突入すると就活の場は乱戦模様となり、激しい情報戦が繰り広げられるように。スマホのタップ一つで採用選考へのエントリーが可能になるようになってからは、数十社へのエントリーは当たり前になり、さらにコロナ禍によってオンラインでの採用選考も広がった。

大きく様変わりした就活事情だが、現在はどのようなトレンドがあるのだろうか。新井氏にたずねるとポイントが3つあるという。

キーワードは『ジョブ型採用』『通年採用』『オンライン化』です。一昔前の常識とは全く異なる様相を呈しています。親世代の皆様も30年前の感覚とは違うとは感じてはいてもお子様にアドバイスしようにもうまくいかない、とよく相談を受けることがあります」(新井氏)

社風に馴染むかよりも、何ができるかを重視

それぞれのキーワードを見ていこう。まずはジョブ型採用についてだ。

新井氏の写真

「日本では一部の専門職を除いて長きに渡り『メンバーシップ型採用』が行われてきました。人柄が社風に馴染むかが重視され、どこに配属されるかはほとんど運次第。全く経験のない分野で働くことも少なくありませんでしたが、終身雇用が前提であるので安定感はありました」(新井氏)

志望する部署に配属されるかわからないことを意味する「配属ガチャ」という言葉は、メンバーシップ型採用を続けている企業で生まれたという。

「一方、トレンドの『ジョブ型採用』は、営業志望者は営業の枠で、マーケティング志望者はマーケティングの枠といったそれぞれの志望と能力にあわせた採用をしていくものです。これはグローバル化により、企業が人材も重要な経営リソースとして考えるようになった結果でしょう。生産性を高め競争力を上げるためには、このような人的資本経営を志向するのは自然な流れです」(新井氏)

ジョブ型採用時代においては新卒であっても「企業が求める能力を有しているか」が見られるようだ。

採用は通年化へ

通年採用というキーワードも覚えておきたい。

日本では2015年ごろから経団連が旗振り役となって採用活動の時期の変更を繰り返してきた。少子化で売り手市場となったために企業間の学生の奪い合いが激しくなり、早すぎる採用活動により学業が阻害されることがあったためだ。

取材中の写真

「しかしながら経団連に属しない企業や外資系企業はこのルールに則らないことも多々ありました。そのため真面目に規則を守っている企業は採用が遅れ、優秀な学生を奪われてしまったのです。そして一斉に採用活動をスタートさせる方式は一旦ご破算に。現在は政府がルール作りを主導していくことが決まりましたが、今後は企業がそれぞれのタイミングで採用を行う通年採用が広まっていくと考えられます」(新井氏)

しかし、線引きされないスケジュールに戸惑うのは学生たちだ。学生はどのような動き方をすることが望ましいのだろうか。

準備を始めるタイミングは早いほどいいです。大学2年の終わりには情報収集や自己分析などの準備をしていることがベスト。3年の夏にはサマーインターンが始まるので、4月にはインターンに参加できるよう準備しておきましょう」(新井氏)

そして近年の大きな変化の一つがオンライン面接の増加だ。

「コロナ禍によってオンラインによる採用が増えました。募集だけでなく、試験や面接もオンラインで完結してしまう例が少なくありません。物理的な制約がなくなったことはとくに地方在住の学生にとっては大きなメリットとなりました。首都圏に住む学生にはライバルが増加したといえるでしょう。エントリー企業の増加によって選考準備時期の早期化にもつながっています」(新井氏)

オンラインで面接を行う企業は業務もオンラインであることが少なくない。現実の自分がどうかということよりも、きちんとオンライン上で能力等をアピールすることが大切なのだという。

「オンラインでの面接はリアル空間よりも行き来する情報が限られます。その範囲で、いかに企業で活躍できるポテンシャルを見せられるかが問われているのです。説得性をもち論理的に話を展開できるか、下調べをしたことを結論から話せるかといったことももちろん大切ですが、顔色をよく見せるための照明の準備をすることや、チャットを的確に使うスキルが問われることもあります」(新井氏)

オンライン面接が卒なくこなせるということは、実際に業務が始まった際にもある程度の即戦力として働けることを意味する。そう考えれば、企業のオンライン採用は非常に合理的な取り組みだ。

就活は人生を大きく左右するイベントなのに、誰もが手探り

このように現代の就活について深い見識を持つ新井氏だが、そもそもなぜ就活におけるキャリア構築事業を始めたのだろうか。それは自身が就活中にある疑問を感じたことに始まる。京都大学卒業を目前に外資系金融企業への内定を獲得した新井氏だが、就職活動をする中でおかしいと感じたことが少なくなかったようだ。

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「人生を左右する大きな決断が迫られるにも関わらず、多くの学生は就活を手探り状態で進めています。だからこそ安易な指標に飛びつき、誰にとっての価値を示すものか分からない『優良企業』の内定獲得を目指してしまう。内定は、人生を実りあるものにする鍵ではありますが、人生の全てではありません。自分がどんな人生を歩みたいかが分からなければ、意義のある就活はできません」(新井氏)

とはいえ、それは学生自身に問題があるわけではない。

日本の大学生は引き裂かれています。高校時代までは制服の着こなし方まで指導される画一化された組織に適応するための教育を受け、大学に入学した瞬間に放り出され『個性を出せ』と言われる。そして自分が何者か曖昧なまま就活の時期に突入します。そんな状況に誰もがうまく適応できるものでしょうか。自分が何をどうすればいいのか、せめてもう少し就活市場が体系化されていれば自分の頭で考えて努力することができると思います」(新井氏)

そこで新井氏は就活とはそもそもどのような情報が行き交う場所なのか、採用活動がどのような原理で動いているのかをリサーチ。就活市場を体系化させた。

「そのなかで最適な就活ができるようにフレームワーク化したのが“ABUILD”です。これは私たちの提供しているキャリア構築サービスの名前(Abuild就活)でもあります。人生に本当に必要な考え方や、ビジネス戦闘力を上げるための手法を明示しています」(新井氏)

就活生は手始めに何をするべきなのか。

「ABUILDフレームワークは、戦略、戦術、実行という3つのフェーズに分かれています。まずは戦略を知ることから始めることです。戦略とは暗闇を照らすライトのようなものです。就活の原理を知り企業視点を持つ、つまり就活市場の構造や、企業における新卒採用の位置付けを正しく理解した上で、自分の現状との乖離を適切に把握します。就活の全体像を把握することで、明るい地図を広げられるのです」(新井氏)

アビルドフレームワークの図

大手や外資の内定を獲ることが、就活のゴールではない

新井氏の写真

Abuild就活では、学生自身がどのような人生を歩みたいかをコーチングによって丁寧に引き出し、ともにゴールを設定。そこからバックキャスティングする形で内定獲得を考えていくという。

「まず、大学生は企業や業界の選択肢をそれほど持っていません。ごく限られた範囲からしか選ぶことができない。社会に出た経験がないのだから当たり前ですよね。けれど、Abuild就活であればいつもと違う視点で企業を見ることができるため選択の幅が広がるのです」(新井氏)

そのため新井氏は、Abuild就活で大企業や外資系企業への多数の内定実績があることを喧伝することに本当は大きな戸惑いがあるのだという。

そもそも内定が就職活動のゴールではありません社会人になって活躍し豊かな人生を送ることが本質なのです。大手や外資だからといって、その人にとっていい就職先かどうかはわかりません。本当にやりたいことを突き詰めていったら、ベンチャーや中小企業、フリーランス、公務員も選択肢に入ってくるかもしれない。そしてそれぞれの就職先にリスクとリターンがあります。それをよく鑑みることができるようにサポートすることが私たちの仕事です」(新井氏)

就活のミスマッチをなくして社会をより活性化させたい。

新井氏のそのような考え方、メソッドをより多くの人に伝えるための書籍が2022年11月に出版された『外資系投資銀行まで完全攻略 最強の就活フレームワーク ABUILD』だ。

「体系化した就活フレームワークは学問のようなものなので、理解し進めていくためには相応の努力が必要です。本気で自分の人生を豊かにするために就活をしたいと考えている人には、きっと多くの発見があるはず。私は多くの学生にとって就職活動を人生最高の経験の一つにしたいと考えています」(新井氏)

就活への違和感から始まった新井氏のキャリア構築事業。熱量の源泉はどこにあるのだろうか。

学生と企業のミスマッチをなくし、世の中の生産性を上げ、豊かな社会にしていきたい。採用のミスマッチが増えると、育つべき人材が育たず経済が発展しません。それはGDPなどにも影響を及ぼしていきます。就活をする学生に適切なフレームを提供することで、ベストマッチを生み出し、イキイキ働く人を増やしたい。次世代のリーダーもきっとそういうところから出てくるはずです」(新井氏)

学生の就活から社会を変える新しい動きが始まっている。


Abuild就活についての詳細はこちら

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