政府がエネルギーの安定供給などのために既存の原子力発電所を最大限活用する方針を示す中、西村経済産業大臣は青森県で建設中の使用済み核燃料の再処理工場を視察し、完成に向けて着実に取り組むよう事業者の日本原燃に要請しました。
西村経済産業大臣は、20日、青森県の六ヶ所村を訪れ、日本原燃が建設を進める使用済み核燃料の再処理工場を視察しました。
この再処理工場は原発の稼働で出た使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料として使う「核燃料サイクル」の中核施設とされています。
当初の計画では1997年に完成する予定でしたが、原子力規制委員会が設けた規制基準への対応などを理由に延期が繰り返され、日本原燃は完成時期の目標を「未定」としています。
視察した西村大臣は竜巻対策として建設が進められている非常用電源の冷却塔を守る防護ネットの設置状況などについて説明を受けました。
視察のあと西村大臣は記者団の取材に対して「工場の竣工にむけて安全確保を大前提に総力をあげて取り組んでもらうよう要請した。引き続きしっかり指導していきたい」と述べました。
そのうえで「原子力全体の方向性や課題について、必要な検討を加速させたい」と述べ、年内をめどに使用済み核燃料の再処理などを含めた原子力政策の具体的な方向性をとりまとめる考えを改めて示しました。
【経緯や課題】
原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料として使うことを「核燃料サイクル」と言います。
その中核施設となるのが青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場です。
当初の計画では1997年に完成する予定でしたが、相次ぐトラブルや原子力規制委員会が設けた規制基準への対応などを理由にこれまで26回延期を繰り返しています。
総事業費の見通しは14兆円余りに膨らんでいて事業者の日本原燃は、完成時期の目標を「未定」としています。
一方、この再処理工場が稼働しないため、全国の原発では使用済み核燃料の取り扱いが課題になっています。
使用済み核燃料は原発内にあるプールなどに貯蔵されていますが、再処理工場に搬出できないため原発内にたまり続けています。
大手電力各社でつくる電気事業連合会によりますと、多いところではすでに貯蔵できる量の9割に迫る原発もあるということです。
電力各社は、一時的に保管するための中間貯蔵施設などの確保に向けて検討を進めていますが、このまま再処理工場が稼働できない状態が続けば、貯蔵プールが満杯になって運転できなくなるおそれがあると指摘されています。
政府は、脱炭素化の実現や電力の安定供給のために既存の原発を最大限活用する方針を示していますが、その前提として再処理工場の完成に向けて官民一体で取り組むことにしています。
からの記事と詳細 ( 西村経済産業相が再処理工場を視察 完成に取り組むよう要請|NHK 青森県のニュース - nhk.or.jp )
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