戦争のおぞましさを覆い隠して兵士たちを生き生きと描き、戦意高揚を図った「戦争画」がかつて存在した。戦後77年の今、一流画家が手がけた戦争画を、奈良県生駒市の画家田中彰治郎さん(78)は戦時中とは逆に「戦争は絶対にあかん」ということを伝えるために使っている。
銃を手に腹ばいになって進軍する兵士たち、真珠湾を爆撃する戦闘機、敵軍司令官に降伏を迫る陸軍将――。凄惨(せいさん)な死のにおいはなく、戦地で果敢に挑む旧日本軍の活写が続く。藤田嗣治や小磯良平、猪熊弦一郎、向井潤吉ら従軍画家が太平洋戦争の最初期に描いた23枚の戦争画集だ。
表紙には「大東亜戦争陸軍作戦記録画解説」、奥付には「陸軍省報道部校閲済 昭和十八年九月二十九日発行」とある。軍が15人の画家を戦場へ派遣して描かせたもの。大本営陸軍報道部長が序文で「一々主題を指示して主要作戦を描かせ」「軍は全国各地にこれを展示公開せしめた」「複製刊行させ、一層の普及を計る」と記している。
田中さんがこの画集を自宅で見つけたのは2018年。保管用の箱もなく、ポリ袋で無造作に包まれていた。98歳で亡くなった義父の一郎さんの遺品だ。
一郎さんは1919年生まれ…
からの記事と詳細 ( 戦意高揚図った「戦争画」 現代の画家が語り継ぐ「戦争はあかん」 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/JCDGbk9
0 Comments:
Post a Comment