Friday, November 27, 2020

音楽PVの世界を絵画に変えるアーティスト!吉田桃子が描く「現代の若者」 - フジテレビュー!!

マネックスグループが主催する「ART IN THE OFFICE 2019」でグランプリを受賞した吉田桃子は京都をベースに活動する若手アーティスト。

「音楽のPVを絵画に変換する」をコンセプトに、現代を生きる若者の姿を独特のタッチで描き出す。

新進気鋭のアーティストの考え方に迫るシリーズ企画「アートに夢中!」。今回は吉田桃子さんの学生時代から現在に至るまでの活動の軌跡について話を聞いた。

ギャラリーリンク 吉田桃子
吉田桃子

――吉田さんの作品は、音楽と関連が深いそうですね。

そうですね、制作は音楽からインスピレーションをもらうことが多くて、それを元に動画としてのビジュアルイメージを頭に描きます。

そのシーンを再現するために模型をつくって、今度は模型をベースに映像をつくり、最終的に一部分を切り取って絵画に仕上げていく。

複雑なプロセスなんですけれど、要するに、音楽のPVが根底にあるんです。それを絵画に変換しているイメージです。

ギャラリーリンク 吉田桃子の作品
「first “I.U” zone.2」 2019, Acrylic on polyester fabric(アクリル絵の具、ポリエステル布) ART IN THE OFFICE 2019 / Monex Group Press Room(GALAXY) (東京) 

――作品が半透明に仕上がっているのが特徴的ですね。

映像的な軽さを視覚的に表現したかったんです。

それまでは普通のキャンバスに描いていたんですけど、2018年頃から今のような半透明に。頭の中にある一瞬のイメージを焼き付けた感じを出したかったんです。

ギャラリーリンク 半透明に仕上がった吉田桃子の作品
《Just hearts, NE town #1》 2019, 23×41cm, Acrylic on polyester fabric(アクリル絵の具、ポリエステル布)
ギャラリーリンク 吉田桃子が制作に使用するマネキン
制作に使用するマネキン

――もう一つ、「青年期の人物」を描くのが、作品の特徴と聞きました。

そうですね、それは一つの大きな要素です。「現代の若者の姿を描く」というコンセプトを背景にして、モチーフの選択をしました。

今までの作品では、2000年代前後の海外のバンドサウンドにインスパイアされることが多かったんですが、最近、自分より若い世代の音楽もいいなと思えるようになってきて。

それをきっかけに、自分より若い世代に興味が湧いて、普段の生活の中でも目がいくようになりました。

街を歩いている高校生を見ても普通に制服の着崩し方もお洒落で、今の私ともあまり感覚が変わらないな、と思ったんです。

私たちが高校生の頃はもう少し独自の、どちらかというと閉じた文化と言うか…、上の世代からしたらダサかっただろうな、と。

今の若い人って、当時の私たちからしたら圧倒的に情報量も多いし、国内外で誰かと繋がるハードルもすごく下がっている。広い視野で物事を判断できるんだろうと思います。

仕事にしても、ジェンダーに関しても、より自由な感覚を持っているんじゃないでしょうか。その軽やかさや自由さに憧れるし、これからそういう時代になっていくんだろうなと思います。

今までの作品づくりは「自分の感傷」が原動力になっていたんですが、そういう若い人たちを登場させることで、ある意味その感傷がぶち壊されて、作品の中に予期しない変化が生まれることを期待しています。

ギャラリーリンク ホテルグランヴィア大阪に飾られた吉田桃子の作品
《first “I.U” #4》 2018, 40×54cm, Acrylic on polyester fabric(アクリル絵の具、ポリエステル布) ART OSAKA 2018 / ホテルグランヴィア大阪 26階(大阪)

――元々はどんな作品を作っていたのですか?

一番初めは、自分が当時描いていた漫画のキャラクターを変化させて、作品の中に登場させていました。漫画の世界のパラレルワールドとして、絵画の世界にも登場させる、という感覚で。

その後は自分と密接な関係にある、大事な人たちから要素を抽出してキャラクターを生み出すようになって、でもそれも結局自分を通しての見え方でしかないので限界を感じていました。

そんな時マネックスさんの「ART IN THE OFFICE(※)」に選出していただき、初めてワークショップに挑戦して、それがすごく刺激になりましたね。

(※マネックスグループ本社オフィスに一定期間滞在し、社員との交流を通じて、作品の制作を行うプログラム)

社員の方々と、会社のオフィスに合う「顔の造形」を作り上げるという内容だったのですが、全く知らない人達からキャラクターの要素を取り込むことには可能性を感じました。今後も続けていきたいと思っています。

ギャラリーリンク 吉田桃子の作品
《Just hearts, NE town #9》 2020, 67×120cm, Acrylic on polyester fabric(アクリル絵の具、ポリエステル布)

――キャラクターや人物描写する際には、どんな意味合いを与えていますか?

私がキャラクターを設定する時には、自分自身に対する劣等感、あとはその反動からくる憧れを、その人物の設定に反映させることが多いですね。

好みの顔のキャラクターに自分の中の「負」の部分を背負わせることで、それが自分から切り離されて、受け入れられるような感覚があった。だから、私にとっては一種のセラピーのようなものだと思います。

――ワークショップなど外部との交流で違う視点を取り入れることで、作品も変わったんですね。

そうですね。ワークショップの体験の後から少し意識が変わって、自分と他人を繋ぐような、もしくは鑑賞者と作品を繋ぐような存在としてキャラクターを作りたいと思うようになりました。

ギャラリーリンク 吉田桃子の作品群

――もともとアーティストを志したきっかけは何ですか?

もともとはデザイン方面に興味があって、高校生の頃に美大を目指して画塾に行き始めました。

でも、通い始めてから割と早い段階で「自分にはデザインは向いていないな」と。相手の希望を汲み取って期限までに仕上げることよりも好きなだけ時間をかけて自分の描きたいものだけを模索する方が合っていたんですね。

なので、いま思うと、油絵科を選んだことも、アーティストという道を選んだことも必然だったのかもしれません。

――早い段階からアーティストとして身を立てようと考えていたのですか?

「作家としてやっていこう」と思ったのは院生になる時ですね。大学院まで進学しているからもう後戻りできないという気持ちもあったし、そこから迷うことはなかったです。

――デザイン以外では、どんなカルチャーに触れてきたんですか?

絵に関連したことで言うと、子供の頃から漫画を描くのは好きでしたね。もちろん読むのも好きだったんですが、幅広く読むというより、気に入ったものを繰り返し読むことが多かったです。

あとはバンドサウンドと古着かな。当時、その二つが流行っていて、そういうカルチャーからは影響を受けていると思いますね。

ギャラリーリンク 吉田桃子

吉田桃子 (よしだももこ)

1989年兵庫県生まれ、2016年京都市立芸術大学院修士過程修了。音楽を聴いているときの高揚感や頭に浮かぶ映像的イメージを絵画の形式に閉じ込め、観る人にその高揚感を共有させる装置とする作品制作を行っている。アートアワードトーキョー丸の内2016 三菱地所賞受賞、京都市立芸術大学大学院市長賞受賞(2016年)。これまでの個展に「scene UKH ver.3.1」ARTZONE / 京都(2017)、「scene UKH ver.3」三菱一号館美術館歴史資料室 / 東京(2017)、グループ展に「ARTISTS’ FAIR KYOTO2020」 京都文化博物館別館(2020)、「京芸 transmit program 2018」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都(2018)などがある。

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November 27, 2020 at 05:56PM
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