Thursday, August 18, 2022

あなたは賛成派?「負のうるう秒」に対してGoogle、Amazon、Metaが猛反対する理由 - Lifehacker JAPAN

なんせ1秒減らす「負のうるう年」は初めて。やれる気がしません。

年末カウントダウンで午前零時を2回カウントすることで1秒加え、自転速度と協定世界時(UTC)の誤差を埋めてきた「うるう秒」に異変が生じ、地球自転が高速化に一転。

午前零時をスキップして1秒引く調整が叫ばれるなか、「1秒足すだけでも世界中のシステムがパニックだったのに、1秒引いたらどうなっちゃうの⁉」という不安がIT業界に広まり、Google、Amazonに次いでMeta(メタ、旧Facebook)も「うるう秒やめようぜ」と言い出しています。

うるう秒は1972年以降27回行なわれていますが、地球の自転スピードが遅くなるのに合わせて毎回1秒ずつ足すのが常でした。マイナスにすると、プラスの前提でプログラムされているものすべてに影響が予想されます。

Metaエンジニアブログは「うるう秒をこれ以上続けても百害あって一利なしだ」と述べ、現場の苦労を淡々と書いていますよ。

自転速度が一定でないのにはいろんな要因があるが、世界最高峰の山頂の雪が固まったり解けたりするのも一因だ。

フィギュアスケーターのスピンのように、手を広げると角速度が遅くなって慣性モーメントが保存され、手を縮めるとまた角速度は速くなる、といったことが起きる。そのため従来のうるう秒では、年の変わり目に次のように時刻をカウントすることで1秒加える調整が行なわれてきた。

23:59:59 -> 23:59:60 -> 00:00:00

データストレージが異常を検知し、プログラムがクラッシュしたり、データが損壊する程度の影響で済んだ。

ただ自転パターンの変化にともない、次回は負のうるう秒となる気配が濃厚になってきた。となるとカウントはこうなる。

23:59:58 -> 00:00:00

負のうるう秒の影響については大規模にテストしたことがないため、時刻やスケジューラーに依存するソフトウェアに壊滅的打撃がおよぶことも考えられる。

いずれにしても、ハードインフラの管理担当にとって、うるう秒はひどく頭の痛い問題なのだ。(Metaより)

そんなわけでMeta内部ではすでに、年の変わり目に1秒をいきなり足すのはやめて、年初の17時間にわたって少しずつ調整する「Leap Smearing」という一部業界の手法を採用中とのこと。

17時間を選んだのは「NTPサーバ数百台がうるう秒を実行するStratum 2でも同時にSmearingが行なわれているから」ですが、薄めすぎてもNTPに異常とみなされてダウンしちゃうので、微妙なさじ加減が要求されます。

Smearing開始時刻も前日午前零時から24時間やるところもあれば、年越しの2時間前、年越し午前零時からスタートさせるところもあったりして、企業によってマチマチなら、Smearingで使うアルゴリズムもマチマチ。

Smearing実行中にNTPサーバーが再起動になると調整前の時刻か調整後の時刻に分かれてしまって、これもクラッシュの原因になるってな具合で、胃の痛いことだらけ。

Metaみたいな巨大企業でさえ、どこに足並みをそろえていいものやらサッパリらしく、「あと1000年は+27秒のままでいいだろう」と結論づけているのです。

そんなに自転スピードって上がってるの?

それにしても意外なのは自転スピードが上がっているということです。

北極や南極の氷が解けて赤道側の海面が上昇すれば、スケーターが手を広げるようなものなので自転速度が落ちる…そこまではわかるのだけど。

昨春のSciShowの動画(下)を見たら「2020年からスピードアップしてて、2020年7月19日には通常より1.49ミリ秒も速く回った」(3:38~)とあって今さらながらビックリ。

原因として考えられるのは、ラニーニャが順風になっちゃってること、極地付近の海流スピードが落ちてることなどで、ほかにもマントルの動きとかいろいろありそうだと言ってます。

今年の6月29日には「観測史上もっとも短い地球の1日」が観測され、「24時間ー1.59ミリ秒で自転が終わってしまった!」とニュースになっていました。

「この自転スピードが続けば、これまで例がないことだが、原子時から1秒減らさないといけなくなるだろう」と天文物理学者のGraham Jones氏はTimeandDateに報告し、2日前のMetaの投稿と真っ向対立です。

ただ、長続きしないと見る専門家もいて、自転の異常は「チャンドラー・ウォブルの異常が原因だ」と提唱する科学者の1人、Nikolay Sidorenkov教授はTimeandDateに「1日の長さは今が最小で、これから長くなって1秒引かなくて済む確率は70%だ」と微妙なコメントを残しています。

7割の確率って…。当たるも八卦、当たらぬも八卦で、先のことはまったく読めないのが現実。しばらくは自転に振り回されそうですね。

執筆:satomi/Sources: Meta, 日経XTECH, YouTube, New York Post, TimeandDate

ギズモード・ジャパンより転載(2022.8.3公開記事)

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