Tuesday, June 27, 2023

諫早湾干拓地めぐり国や県に損害賠償求める裁判 判決言い渡し ... - nhk.or.jp

諫早湾の干拓地をめぐって農業を営む法人や個人がカモによる食害や冷害・熱害などに対して被害を防ぐ有効な対策を怠ったなどとして国や県などに対して損害賠償の支払いを求めていた裁判で裁判所は、個人としての男性に対しておよそ50万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
一方、農業法人はあわせて開門も求めていましたがこれについては請求を退けました。

この裁判は諫早湾の干拓地をめぐって、2つの農業法人がカモによる食害を受けたのは農作物の被害を防ぐ有効な対策を行わなかったとしてまた、別の農業法人と個人としての男性が優良な農地であるかのような誇大な宣伝によって干拓地の農業に参入したものの排水不良や冷害・熱害によってわずか5年間で撤退を余儀なくされたなどとして国や県に対して損害賠償あわせて6300万円の支払いを求めていました。

27日の判決で長崎地方裁判所の松永晋介裁判長は、「カモによる食害や冷害・熱害が堤防の閉め切りや調整池の造成に起因するとは認められない。営農指針などで気象条件や鳥獣対策については指摘されており、公募の過程で虚偽の宣伝がなされたとは認められない」として国や県などの責任を否定しました。

一方で農業振興公社が男性の農地にロープを張って一部の使用を制限したことについては「賃借設定者として農地を使用して収益を上げさせるという義務に違反する」として公社に対し、男性におよそ50万円を支払うよう命じました。

また、一部の農業法人は開門も求めていましたが、「権利を有していない」として訴えを退けました。

判決のあと原告側は会見を開き、一部で勝訴したものの、全体としては主張が認められていないとして、控訴を検討する方針を明らかにしました。

原告の1人で、賠償が認められた大崎吉重さんは「判決で認められた金額では納得できない。50万円の賠償では、タネ代にも肥料代にもならない」と話していました。

また、原告で、農業法人の勝田考政代表は「こちらが望むところまで話が通っておらず、判決は全然納得していない。なんとか今後の裁判で主張が伝わってほしい」と話していました。

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