Vol.27 瑞希(29歳)「いつものメンツ」が集まらなくても
私には、年に一回のお楽しみがあった。
それは毎年、新年会と称して仲間と大久保のエスニック料理店『ベトナムちゃん』で冬限定のレモングラス海鮮鍋を囲むこと。
メンバーは東京医科大出身で医師の祥太郎、日大芸術学部出身でフリーライターの凛、早稲田卒で外資系通信関連会社に勤める竜馬と、青山学院を出て都内の大手食品メーカーで広報をしている私・瑞希。
年齢は同じだけど、職業も雰囲気もバラバラな4人。
私たちの出会いは、大学時代にさかのぼる。
私が卒業前のアジア一人旅をしていた際、ベトナム・ホーチミンにある同じゲストハウスに偶然4人が泊まっていたのが出会いだ。
いまだにその時の話で盛り上がれるほど、濃い数日間を過ごした。
「結局修学旅行みたいになっちゃったよね」
「祥太郎、Facebook用に私たちに一人きりの写真撮らせたよね」
「だけど、俺らの影が映っていたんだよな」
「全然一人旅じゃないじゃん、と周りにつっこまれたという」
他愛ない思い出話で毎回盛り上がりながら、笑い声の絶えない時間。
1年に一度のこの会は、あのときの解放感をよみがえらせ、平坦な日常から解放される私のオアシスだった。
― 結婚しても子どもが生まれても、この新年会は恒例にしたいな…。
離れていても、心で繋がっていられる友情を、私はこの旅の仲間に会えて初めて知った。
しかし、昨今の社会情勢がそんな関係に亀裂をもたらしたのだ。
からの記事と詳細 ( 「入籍しておけばよかった…」3年前に結婚式を延期して、彼との関係が壊れ始めて - 東京カレンダー )
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