Thursday, April 14, 2022

記者の目:現代の部落差別 「壁」崩すため書き続ける=鈴木英生(専門記者) - 毎日新聞

京都・岡崎公会堂の跡にある「全国水平社創立の地」の石碑=京都市左京区で2月6日、野口由紀撮影
京都・岡崎公会堂の跡にある「全国水平社創立の地」の石碑=京都市左京区で2月6日、野口由紀撮影

 人の世に熱あれ、人間に光あれ――こう宣言して日本初の反差別当事者団体「全国水平社」が創立されて3月で100年を迎えた。関連するインタビューや対談の記事を書いたが、取りこぼした論点は多い。改めて、現代の部落差別を考えたい。

 部落出身者は推計100万~300万人とされてきた。部落問題を研究する大阪教育大の齋藤直子特任准教授によると、(1)江戸時代までの賤民(せんみん)身分が住んだ場所などに住む人(2)そこにルーツがある人――らで構成される。実は、旧賤民の子孫以外も多い。明治期以降、下層労働者が集住した地域が部落となった例などがあるためだ。「被差別部落の真実」などの著書がある社会理論・動態研究所の小早川明良理事は「戦後にできた部落さえある」と話す。

 近年、公の場での差別発言などは減った。「差別はもうない」との声すら聞く。だが、法務省の調査(2020年)では、部落差別をしたり、されたりした経験がある人の割合は、近畿と中四国で25%以上、関東13・2%、部落が少ない東北ですら8・2%に上る。差別されても3割から半数近くの人が泣き寝入りしているとの調査データもある。

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