犯罪映画で知られる今年70歳の名匠が、新作「パリ13区」(22日公開)で都市に暮らす若い男女の恋愛を軽やかに描いた。「出会い系アプリを使って知り合うなど、昔とは様相もずいぶん変わった。恋愛に対する私の考えをこの映画で提起し、現実を少し誇張してコメディーとして描いてみたんだ」と語る。
自身にとって恋愛映画といえばエリック・ロメール監督の「モード家の一夜」(1969年)。「男女が恋愛について一晩中語り尽くすが最後まで愛の行為はない。当時10代だった私は感銘を受け、1週間に4回見たほど」。一方、今回の映画に登場する若者たちは、いとも簡単に出会いすぐに体の関係を結ぶが、愛を深めることはなかなかできない。「先に性行為があり、それから愛の会話をするのは果たして可能なのだろうか。私は映画でこの問題を投げかけたかった」
パリ市内の移民が密集して暮らす地区を舞台に選び、モノクロで撮影した。パリを「あまりにも美術館風で、撮影しやすい街ではない」と感じていた。「白黒で撮ることで、アジアの大都市のようにパリの街を撮れるのではないかと思った。映画ではアジア系、アフリカ系とさまざまな人たちが共存する。楽観的な夢物語と感じられるかもしれないが、そうであってほしいという願望でもある」
気鋭の女性監督セリーヌ・シアマらを共同脚本に招き、原作のグラフィックノベルを大胆に脚色して完成させた。作風を一変させたようにも見えるが「私の中では一貫性がある」と語る。
「人は今までとは別の人生を歩むことができるのか。形式は違っても、その1つのテーマをずっと映画で描いているつもりだ」
(関原のり子)
からの記事と詳細 ( 白黒のパリに現代の恋愛描く 仏のJ・オディアール監督 - 日本経済新聞 )
https://ift.tt/R1EfbB6
0 Comments:
Post a Comment