Thursday, April 14, 2022

論点:現代の戦争と平和 - 毎日新聞

 ロシア軍のウクライナ侵攻で、過去のものと思われていた戦争の姿がよみがえると同時に、平和がいかにもろいかという現実を突きつけられた。他方、経済制裁やインターネットなどによる情報戦は、日本も含む全世界を戦争の「当事国」にしているとも言える。戦争と平和について考える。

武力行使は「慎む」が現実 長有紀枝・立教大大学院教授

 平和はとても不安定だ。ロシアによるウクライナ侵攻は、我々に国際社会を取り巻く現実を突きつけた。

 第二次世界大戦の教訓から生まれた国連憲章は、武力紛争を違法化する到達点といわれる。武力行使の禁止は2条4項で規定しているものの、「禁止」という言葉はない。武力行使は「慎まなければならない」と表現しているだけだ。これは単語としては「たばこを吸うのを慎みましょう」というのと同じ程度の意味合いだ。さらに、国際社会には統一的な世界政府や強制管轄権のある裁判所も存在しない。

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