新型コロナウイルスの感染拡大で結婚式の中止や延期が相次ぎ、打撃を受けたウエディング業界が、新しい結婚式の形を模索している。その一つが結婚式場と、来場できない友人らの自宅をオンラインで結ぶ「ハイブリッド婚」。画面越しに式場の新郎新婦にお祝いを伝えたり、他の参列者と会話を楽しんだりできるという。ポストコロナ時代の結婚式の形とは―。(押川恵理子)
◆オンラインで1万人「参列」
「乾杯」。式場の参列者と同時に、オンラインの参加者もグラスを上げた。5月中旬、結婚式場などを手掛ける八芳園(港区白金台)で開かれていたのは、同社が2021年4月から取り組む独自のオンラインシステムを使った「ハイブリッド婚」。画面には「テーブル移動」のボタンもあり、参列した親族や友人が別のテーブルを訪れて歓談するといった披露宴での「自由な交流」もパソコンやスマートフォン上でできる。
八芳園では、今年1月までに挙式した約四割がハイブリッド婚を選択。計1万人が「参列」した。愛知県内の式場で行った20代の新婦は「1人でも多くの人に見てもらえてうれしかった。遠方からのスピーチは画期的で、盛り上がった」との喜びの声を寄せた。
◆多様な要望に対応
システムは、コロナ禍で人の移動や集まりが制限され、多くのカップルが結婚式の中止や縮小を余儀なくされる中、開発された。八芳園も20年には開業後初めて2カ月間の休業を迫られた。既存のビデオ会議システムと違い、リモートの参加者が1つのURLに入るだけで複数のテーブルに置かれる端末の間を自由に行き来し、会場の参列者と会話できるよう設計。現在では、自社以外にも全国の結婚式場10カ所で導入されている。開発に携わったDX推進室の原田貴誌室長(46)は「コロナ禍前も海外在住や入院中で結婚式に参列できない人はいた。ハイブリッド婚によって、(コロナ後も)さまざまな要望に応えられる」と語る。
リクルートの結婚トレンド調査によると、20年度の挙式や披露宴の総額費用(全国平均)は前年度より70万円減の292万3000円。今後も婚礼市場は、価値観の変化や人口減少の影響で縮小が予想されるが、リクルートブライダル総研の落合歩所長は「ハイブリッド婚など選択肢を増やすことで、顧客の満足度を高め、婚礼市場の活性化につなげてほしい」と話している。
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