Tuesday, May 17, 2022

独紙が懐かしむ大ヒットゲーム「たまごっち」は現代のアプリの基礎だった | 25年前に世界中で大ブームを巻き起こした卵型おもちゃ - courrier.jp

たまごっちを手に持つフランスの子供 Photo: Chesnot / Getty Images

たまごっちを手に持つフランスの子供 Photo: Chesnot / Getty Images

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Text by COURRiER Japon

「たまごっち」を覚えているだろうか? 25年前に大ヒットして社会現象となり、誰もが欲しがったのに入手困難だった、ペットを育てる卵型のゲームだ。当時世界で4000万個ほど売れたこのゲームは、ドイツの人々にも強烈な印象を残したようだ。

海外でも大ブームを引き起こした「たまごっち」


1996年11月にバンダイから発売されて大ブームとなり、一斉を風靡した小型ゲーム機の「たまごっち」。仮想のペットのお世話をし、育てるとさまざまな形態のキャラクターに成長するという、このゲームに当時熱中した人も、そのブームのことを覚えている人も少なくないだろう。

実はこのゲームが流行したのは日本だけでなく、当時世界20ヵ国以上で発売され、各国で人気を博していた。

独誌「シュピーゲル」によると、当時イギリスでは亡くなったたまごっちのための墓地が実際に作られ、ドイツでは「スクイーズ」という人気のユーロダンスグループが、当時『Tamagotchi(たまごっち)』という歌を歌っていたほどだった。アメリカでは、生徒がたまごっちを学校に持ち込むと集中できなくなるので、その使用を禁止するところも少なくなかった。

イギリス南東部のコーンウォールに設けられた「たまごっち墓地」には、「たまごっち」を葬りたい人々がヨーロッパ中から殺到した

イギリス南東部のコーンウォールに設けられた「たまごっち墓地」には、「たまごっち」を葬りたい人々がヨーロッパ中から当時殺到した Photo: Mathieu Polak / Sygma / Getty Images

独紙「南ドイツ新聞」によると、1997年に2000万台売れた「たまごっち」のうち1割はドイツで販売されたそうだ。そして、ドイツでの発売からちょうど25周年となった、2022年5月前半、独通信「dpa」を初め、数多くの独メディアが一斉に90年代の「カルトトイ」となった、たまごっちについて振り返った。


ドイツでも懐かしまれる「カルト」おもちゃ


独メディア「RND」のシュバルツァ記者も子供の頃、たまごっちに熱狂した一人だ。1997年の春、人気者のクラスメイトがある日「たまごっち」を学校に持ってきたのを見て、その面白さに魅了されたという。気づけばあっという間に学校中でブームになり、誰もがリュックに音のする卵を持っていたそうだ。

しかし、オリジナル製品を持っていた人はほとんどおらず、ほとんどはそのコピー製品で遊んでいた。ドイツでも、当時の日本と同様にたまごっちの供給が不足し、値段も高かったためにオリジナル製品は入手困難だったのだ。

シュバルツァ記者も、当時近所の玩具店でコピー製品を購入し、とても気に入って使っていたそうだ。しかし、持っていた海賊版のたまごっちは呼び出し音を消せなかったため、学校に持っていけなかった。それゆえ帰宅までにたまごっちが死んでいないか、学校ではいつもヒヤヒヤしていたそうだ。

そしてその年の秋の終わり、シュバルツ記者はやっとオリジナルのたまごっちを手に入れた。クラスメイトからは羨望の眼差しで見られ、彼もようやく手に入れたゲームに夢中になった。餌をあげすぎたのか、ペットを「わがまま」な形態に成長させてばかりいたそうだが。

しかし、1998年に入ると、このブームはドイツでもあっという間に過ぎ去って行った。


現代のアプリの礎を築いたゲーム


バンダイはその後何度か新機能を搭載してたまごっちのリバイバルを目指し、最近も25周年を記念して「たまごっちスマート」を発売した。しかし、多様なゲームやアプリがある現在、発売当初のような勢いはもう持ち得ない。

しかし各紙とも、たまごっちは、「人間と機械の関係」という現代のカルチャーのマイルストーンをシンプルな技術で作り上げたと振り返る。

「バーチャルペット」という発想は、その後何度も花開いた。最近もゲーム『ポケモンGO』を手掛けたナイアンテック社が、『ペリドット』というペットを育てるARゲームを発表している。

たまごっちブームの当時、米ニュースクール大学教授で作家のドミニク・ペットマンも、「たまごっちの時代の恋愛」と題したエッセイを書し、この小さなデバイスが多くの人にとってバーチャルな恋愛の入り口となったと分析していた。

多彩なアプリを搭載したiPhoneや音声アシスタント、人工知能が日常生活の一部になるずっと前に、たまごっちはすでに新たな世界の扉を開いていたのだ。

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