前回「日本の最初の印象は… ロシア人ビジネスマンが見た日本」から続く
あしや:では、ビジネスにおいて、文化の違いで困ったことはありますか?
アレックス:日本で仕事をする=会社に行くというイメージがあります。電車に乗って、席に着くのがワークスタイル。
あしや:おそらく、コロナ前は特にそうでしたね。
アレックス:ロシアではそういうワークスタイルの人はほとんどいないですね。特に、幹部クラスが職場にいることはまずないです。
あしや:もしかして、遊んでいるんですか?
アレックス:遊んでます!! 幹部クラスは任されている仕事が違うというのが本当のところです。たとえ遊んでいても、ノルマや目標を達成していれば良いのです。僕の知り合いの社長からは、ある日電話をしたら、「今、マカオでギャンブルしてる。」と言われたこともあります(笑)。でも実は、彼はカジノにロシアの薬草酒を売っているんです。良い言い方をすると、遊びと仕事を両立しているとも言えますね。
話は変わりますが、今年取締会で会食をした時に、「最近の若者、すぐにやめるよね」という話題から、どうやって人材を確保したらよいかという話になりました。日本人は大抵、辞めた人と同じ能力の人を探す傾向があります。同じ大学から選んだり、経歴も似たような人を探したりします。しかしロシア人は逆で、全く違う業界の人を雇おうとする傾向にあります。
あしや:どういうことですか?
アレックス:私も最初は同業種から人を雇うのが良いと思っていましたが、その社長は、「同じような人を雇うと、また同じことが起こる。なので、全く異なる人を雇った方が、続く可能性は高い」と言っていました。もちろん、業界知識の問題もあるけれど、全く違う考えを持つ人を入れなければ、会社はいつまで経っても変わりません。
あしや:大胆でリスクはあるけれど、斬新な考えですね。面白いです。
アレックスさん:ロシア人の性格を物語るエピソードは他にもあります。重工関係の仕事に就いていた時、重機を売った後のメンテナンスで、ロシアのサンクトペテルブルグに日本から13時間くらいかけて行ったことがありました。現場に到着して気づいたのですが、ネジを回すのに工具を持ってきていなかったのです。しかもその不良の魂胆であるネジが特殊だったので、工具も専用のものしか使えない。ロシアでもその工具が流通していると思っていたのですが、ロシアにはなかったのです。国が絡む大きなプロジェクトにも関わらず、工具がないことで、すべての作業が止まってしまいました。日本から取り寄せても4日かかるし、そもそも着くころには、我々は帰国しなければいけない。
日本人のプロチームは頭を抱えて、冷や汗状態。その時、ロシア企業の部長が「ロシア流で解決しましょう」と言い、その場にあった鉄板を熱して、ネジに押し当てて、ハンマーで豪快に叩きました。そして、ネジの形を変えてレンチで回し、すべてを解決しました。
あしや:問題解決へのアプローチが日本人の思いつかない発想ですね。
アレックス:昔の映画の「アルマゲドン」にも似たようなシーンがありましたね(笑)。とにかく、ロシア人はどのような局面においても、サバイバル精神がすごいです。
あしや:日本人は正確で慎重に物事を進め、リスク・責任重視な面が大きく、ロシア人は大胆で、「何とかなるでしょう」という性格が対照的ですね。
アレックス:メールのやり方にも国民性が出ていると思いました。日本の営業メールは、文面が長すぎて、外国人にとって何が言いたいのかわからない事が多いです。例えば、日本人がある商品の営業で、ロシア人にメールを送ったのですが、返事がなかった。しかし、私が送るとすぐに返信が来ました。結局商談は成立し、後から理由を聞いたところ、彼が一言、「最初の営業メールを見たけど、超長かった」そのメールでは、「日本では桜が茂っています...」から始まり、過去の実績、会社概要等が長く書かれていて、最後まで読むころには、脳みそがいっぱいになってしまう内容だったそうです。あしやさんはどうですか?
あしや:確かにそうですね。日本歴が長いと、逆にロシア人とメールする時、短すぎて失礼になっちゃうのかなって思うことがあります。
アレックス:日本は「拝啓」から始まり、「敬具」で終わりますよね。海外ではメールがどんどんシンプルになるけれど、それによって逆に親密に感じることも多いです。
あしや:そもそも、ロシアではビジネスメールの概念すらない感じもするほどです。
からの記事と詳細 ( 「部品が無い!」冷や汗をかく日本人に対してロシア人部長は…日露ビジネスエピソード - SankeiBiz )
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