Saturday, January 30, 2021

ナチスからユダヤ人を助けたフランスの村に感謝、2.5億円の遺産寄付 - BBCニュース

Le Chambon-sur-Lignon

オーストリア出身の90歳男性が、自分や家族をナチス・ドイツの迫害から守ったフランス南東部の村に、感謝の印として遺産から約2.5億円を寄付した。

フランスのル・シャンボン・スル・リニョン村は人口約2500人。迫害される人を保護してきた長年の歴史があり、第2次世界大戦では多くのユダヤ人を守ったことで知られる。

先月90歳で亡くなったエリック・シュヴァムさんは、1943年に家族と共に村にたどりついた。

現在のジャンミシェル・エロー村長は、シュヴァムさんが遺言書で村に「大きな額」を残してくれたと話した。エロー村長は額を明らかにしなかったが、前村長が地元メディアに話したところ、シュヴァムさんは寄付について以前から村に問い合わせており、その額は約200万ユーロ(約2.5億円)に上るという。

村の文化広報担当、デニース・ヴァラさんによると、遺産について約3週間前に公証人から連絡があった。仏テレビ「フランス3」に対して、「(シュヴァムさんは)目立つことを嫌う人で、寄付についても騒ぎになるのをいやがっていた」と話した。

「(シュヴァムさんについて)あまり知られていないが、少し調べてみた」ところ、シュヴァムさんたちはウィーン出身で、父親は医者だったという。

両親や祖母と1943年に村にたどりついたが、それまでの経緯は詳しく分かっていない。ただし、南仏リヴザルトで一般市民の一時収監に使われていた軍事施設(1942年閉鎖)に一時いたことは確認されている。

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シュヴァムさんの両親は戦後オーストリアに帰国したものの、シュヴァムさんは1950年に薬学を学ぶため仏リヨンに移住したことが、公的記録からうかがえる。

シュヴァムさんはリヨンで未来の妻と出会い、結婚し、長年生活した。夫妻に子供はなく、シュヴァムさんが昨年12月25日に亡くなった時点で、妻もすでに死亡していたという。

ル・シャンボン・スル・リニョン村のエロー市長はAFP通信に対して、シュヴァムさんの遺産は教育や若者育成事業などに使うと話した。

同村は17世紀にフランスで宗教的迫害を受けたユグノー(キリスト教カルヴァン派プロテスタント)をかくまうなど、弾圧される人の避難先として知られていた。

第2次世界大戦中には、地元のプロテスタント派牧師夫妻が率先してユダヤ人をナチス・ドイツや、ナチスに協力するヴィシー政府から守ろうと呼びかけ、多くの住民が協力。人権団体や口コミを通じて、この村はフランスのレジスタンス運動の重要拠点となり、迫害を逃れる人を一般の住民が自宅にかくまったり、助けたりした。村の人たちによって命を救われたユダヤ人は、数千人に上るという。

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