ビジネスシーンなどで「不躾なお願い」という言葉を使う機会は多いものです。しかし、よく意味がわからないまま使用しているという方も多いのではないでしょうか。とても丁寧な表現のように思われますが、使い方によっては失礼にあたるケースもあります。
今回は「不躾なお願い」という言葉の意味や、正しい使い方を例文とともにご紹介します。
「不躾なお願い」の意味とは
ビジネスシーンのみでなく、丁寧な言葉遣いが必要なシーンで使われることの多い言葉ですが、なんとなくで使っていてその正確な意味がわからないという方もいるでしょう。 不躾なお願いとは通常、相手に対して失礼なお願いや無理なお願いといった意味で使われます。相手に手間をかけてしまうお願いや、急になってしまうといったニュアンスです。
「不躾」の使い方
そもそも「不躾」とはどういった意味の言葉なのでしょうか。この言葉単体ではあまり使われることがありませんので、よくわからないという方も多いでしょう。 この言葉には礼儀をわきまえないことや、無礼なことといった意味があります。「躾」という言葉は子供やペットなどの「しつけ」として使われます。なので、その「躾」ができていないと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
「不躾なお願い」は丁寧な表現?
不躾なお願いという言葉自体は特別に丁寧な表現というわけではありませんが、こちらが恐縮してへりくだるといった意図で使われることもあります。そのため、上司などの目上の相手に対して使用しても失礼にはあたりません。 ただし、そのあとに続く言葉を丁寧なものにする必要があります。
「不躾なお願い」に続く言葉
不躾なお願いとは、相手にとっては手間がかかるものや、急なお願いにあたります。そのため、次に続く言葉は丁寧なものにすることが大切です。一般的なのは「不躾なお願いではございますが」といった形です。また「不躾なお願いで申し訳ありません」といった形で謝罪の言葉を続けるケースもあります。いずれにしても、相手に対して申し訳ないという気持ちを伝えるニュアンスの言葉を続けるようにしましょう。
「不躾なお願い」の類語・英語表現
不躾なお願いの類語、言い換えとしては「厚かましいお願い」が挙げられます。こちらも同様に相手にとっては手間がかかる、お願いするのが申し訳ないというニュアンスで使われます。また、単に急なお願いという意味で使用するのであれば「急なお願いではございますが」といった形で使われることもあります。いずれの表現も続ける言葉を丁寧なものにすることによって、上司などの目上の相手にも使用することができます。
最近では業界を問わずグローバル化が進んでいますので英語でのやりとりをしなければならないシーンもあるでしょう。「不躾なお願い」を英訳するといってもピンと来ないという方も多いのではないでしょうか。 英語にもいくつかの表現がありますが「不躾なお願い」の英語表現としては「Sorry for asking this,」が挙げられます。
「不躾なお願い」の正しい使い方
表現としての意味はわかっても具体的にどのように使えばいいのかわからないという方も多いでしょう。続いてはこの表現の正しい使い方についてご紹介します。
どのようなお願いなのか
この表現を使うにあたって最初に疑問となるのがその内容がどのようなお願いなのかという点です。先ほども触れましたとおり、不躾なお願いとは相手にとって手間になるお願いや急なお願いなどのことを指します。
具体的にはこちらから一方的な要求で、相手の時間を割いてしまうといった場合や、本来であれば前もってお願いしなければならないにも関わらず、何らかの事情で急になってしまった場合などです。基本的にこちらの都合で相手に負担をかけてしまうお願いが該当すると考えていいでしょう。
また、特別に失礼なお願いというわけではなくても目上の人に対してへりくだった表現として使用されるケースもあります。
失礼にあたる使い方
不躾なお願いという言葉は基本的に相手に対してへりくだった表現で、謝罪のニュアンスもあります。とはいえ、本当に失礼なお願いをする場合はこの表現ではなく第一に具体的な謝罪の言葉を使用するのが一般的です。
そもそもビジネスにおいて不適切だと思われるようなお願いは、「不躾なお願い」という表現でもカバーすることはできないことは頭に入れておくべきでしょう。相手に「本当に失礼だ」と思わせる内容をメールでお願いすること自体が、マナー違反になってしまいますので注意しましょう。
また、丁寧な言葉遣いとして毎回使用するのもNGです。本当に急を要するお願いをしなければならない場合や、こちらの都合によって相手に余計な手間をかけてしまうといった場合に限って使用するようにしてください。
さらに丁寧な表現にするには
この表現はへりくだった言葉として使用されることもありますので、基本的には目上の人に対して使っても失礼にはあたりません。ですが、より丁寧に表現するのであれば「不躾なお願いではございますが」または「不躾なお願いで大変申し訳ありませんが」といった形で、あとに続く言葉を丁寧なものにするというのが一般的です。
「不躾なお願い」の例文
正しい使用の仕方をご紹介しましたが、実際にどのように使えばいいのかわからないという方も多いでしょう。そこで、最後にこの表現を使った例文をご紹介します。この表現の使い方がわからないという方は参考にしてみてください。
急なお願いの例文
そのお願いが急である場合の使い方はそれほど難しくありません。そのまま「急なお願い」に置き換えることができる部分を「不躾なお願い」とすることができます。
・不躾なお願いで申し訳ありませんが、明日までに資料を送付いただければ幸いです。
・不躾なお願いではありますが、本日中に回答をお願いいたします。
・不躾なお願いで恐縮でございますが、お見積もりの期限は今週中となりますのでご検討の程お願いいたします。
このような形で、近い期限のお願いをする際に使いやすいでしょう。
上司への社内メールの例文
上司への社内メールなどの場合、へりくだった表現として使用されるケースもあります。
・不躾なお願いではございますが、次回式典でのスピーチをお願いできませんでしょうか。
・不躾なお願いで申し訳ありませんが、次回会議の資料を私のメールにもお送りいただけないでしょうか。
上司への社内メールなどの場合は、さまざまなお願いに使用することのできる表現です。
社外へのメールの例文
最後に社外メールなど、一般的な使い方の例文をご紹介します。
・不躾なお願いで大変恐縮ではございますが、お送りした資料にてご検討の程お願いいたします。
・不躾なお願いで申し訳ありませんが、期日中にアンケートにお答えいただければ幸いです。
このような形で、相手に対してへりくだる表現や、急なお願いへの謝罪として使用されます。
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不躾なお願いという表現は、ビジネスシーンでは広く使われている言葉です。そのため深い意味を考えず、何気なく使用してしまっているという方も多いでしょう。しかし、使い方を誤ると相手に対して失礼になってしまう可能性もありますので注意が必要です。 そこで、今回は意味のみでなく使用シーンや例文などもあわせてご紹介しました。しっかりと意味を理解してビジネスでのコミュニケーションに役立ててみてください。
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