2023年7月、愛知県内で3つの式場を運営していた「グラヴィス」が、約15億円の負債を抱えて破産。約85組のカップルが一方的な契約破棄に遭いました。中には、支払った約450万円が返ってこなかったという人も。10月に予定していた結婚式ができなくなった夫婦の苦悩の日々を追いました。
「あのチャペルでやりたかった」結婚式の3か月前に届いた“破産通知”
20代の平野さん夫婦は、2023年10月に愛知県常滑市の結婚式場で式を挙げる予定で式場と契約をしました。しかし、式の3か月前、突然、式場からの「破産通知」が届きました。契約金の10万円は返金されず、長い時間をかけてきた準備が全て無駄になってしまいました。
(夫 弘憲さん)
「結婚式は契約してすぐに全額払うわけではない。半年先の見通しも分かるはずだから(経営が厳しいと)説明があっても良かったのに」
(妻 紗弥香さん)
「ドレスもいろいろ着てみて、赤いドレスに決めていました。ちゃんと経営してくれていたら、あのチャペルでやりたかった」
2023年12月、グラヴィスは初めて破産に関する説明会を開きました。説明した内容は「会社に財産は残っておらず、返金は極めて難しい」と繰り返すだけで、救済策は何もありません。説明会の後、社長は取材に答え、深く頭を下げました。
(グラヴィス社長)
「判断ミスとか、甘い見通しとか。コロナに対する見通しも甘かったと思います。何もできないんですよ、お金もないし。本当に申し訳ございませんでした。それしかないですね」
常滑の式場で司会の仕事をしていた女性に話を聞きました。結婚式は、破産する前日にも行われていたといいます。破産前2か月分の報酬は、支払われないままです。
(司会者)
「突然こうなるとは、さすがに思わなくて、本当に驚きました。その日(前日)には倒産が決まっていたはず。倒産すれば、給料が払えないことも当然分かっていたのに、何食わぬ顔をして働かせた。グラヴィスの上の人たちは、どんな気持ちだったのだろうと怒りがわく」
(グラヴィス元社員)
「元々、あまり経営状態が良くないとの噂は流れていた。ただ、本格的に怪しいと感じたのが(破産の)2か月前くらい。会場の中でも人気のドレスのリース契約がなくなる話が出た時に、いよいよおかしいと感じました」
元社員の女性は、破産の二文字が頭をよぎりながら仕事していましたが、経営陣から何の説明もないまま。そして、不安は現実になりました。
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