テレビ東京は26日、都内の同局で定例社長会見を行い、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の故ジャニー喜多川元社長の性加害問題についての社内調査結果を公表した。
報道局やコンテンツ戦略局、制作局所属経験のある社員、OBの計134人に聞き取りとアンケートを行った。過去に衆院青少年問題特別委員会で同件について質問が出た際や、一部週刊誌と同事務所が裁判で争った際などで報道を行っていなかった部分については、社内や同事務所から「報道するな」といった圧力などはなかったとし「報道現場の人権意識が希薄だったことが背景」とした。
今年3月に英BBCが同問題について報じた際に、同件を報じなかった件については「『テレビ東京として直接当事者を取材し、確認しないと報道できない』と考えたものの、当時はこのニュースに対しての報道局内の問題意識が低く、具体的な取材にまでは及ばなかった」とした。
また、バラエティー、音楽番組での同事務所タレントの起用をめぐる聞き取り調査の結果も公表した。同事務所ではないグループに出演依頼しようとしたところ「出してもいいけど、うちは引くから」などと伝えられたことや、当時人気のあった同事務所タレントに出演要請したところ、メリー喜多川副社長(当時)に、「テレビ東京には出さない。次の人を育てたら?」と言われた社員がいたといい「所属タレントの人気が高まるとともに、同事務所の発言力も増大。キャスティングについて、同事務所の影響力が大きくなった」とした。
ジャニー喜多川元社長の性的嗜好(しこう)については、性加害現場を目撃した社員はいなかったとした一方で、1980年代に「ジャニー氏に迫られたと(事務所に出入りしていた)子どもたちから聞いたことがある」といった元社員の証言があったことも明かした。
こうした結果を受け、石川一郎社長は「人権意識が希薄であったということは揺るがない事実。報道、編成を通じて、少なくとも真偽を確認するべき事柄で、メディアとしての責任を果たせなかったと深く反省しております」と語った。テレ東は10月上旬に旧ジャニーズ事務所に経営ガバナンス強化策などについての質問書を手渡しており、25日に先方から回答がきたことも発表。まだ社内での精査ができていないことから詳細は明かさなかったが、石川社長は「引き続き対話を進めます」とした。
テレビ東京は同事務所タレントの起用については契約済みのものは除いて、当面の起用は見送る方針であることを明かしている。石川社長はこの日の会見でも「新規の契約はしないというスタンスは今後もしばらく続く」と語った。
2023-10-26 07:19:33Z
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