Thursday, December 15, 2022

現代の働き方のルーツ?…侍たちの驚くべき「ブラックな業務時間」とは ... - 幻冬舎ゴールドオンライン

現代の働き方のルーツ?…侍たちの驚くべき「ブラックな業務時間」とは【歴史のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「働き方改革」という言葉も浸透しつつあるなかで、私たちの「働き方」は今後どのように変わっていくのでしょうか。世界史の面白いネタを収集するブログやYouTubeチャンネルを運営し、歴史ライターとして活動する尾登雄平氏が、著書『激動のビジネストレンドを俯瞰する 「働き方改革」の人類史』から、世界各国が歩んできた労働の歴史と、日本における働き方の未来について解説します。

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ヨーロッパが金融の中心になった理由

イギリスの海外進出は、17世紀、アメリカ大陸とカリブ海地域の支配から始まりました。

1783年にアメリカ合衆国が独立を果たすと、イギリスは東インド会社を介したインドの経営に主軸を移します。また、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、マレー半島、南アフリカ、カナダなどを、同じイギリス国王を戴く大英帝国の一員として、政治的にも不可分な領域として組み込みました。

イギリスがこのように世界中の地域を自国の一部に組み込めたのは、巨大なイギリス陸海軍の存在もあったのですが、ロンドンの金融街・シティにあった国際的な金融ネットワークも大きく寄与していました。

シティが世界金融の中心になったのは、ナポレオン戦争終了後のウィーン体制からです。ナポレオンを撃退したいちばんの功労国であったイギリスは国際秩序の主導権を握り、イギリスの金本位制を世界金融のスタンダードに定めました。

さらにイギリスは19世紀後半以降、海底ケーブルを世界中に敷設し、電信網を広げます。各地にある大英帝国の領土を経由して、世界中の決済情報がロンドンに集まる仕組みを作り上げました。

19世紀末になるとイギリスの工業生産力は衰え、ドイツやアメリカなどに追い抜かれていきます。しかし、金融システムを介した株式取引、各種商品取引、海上保険の収入は莫大でした。そのために、イギリスは世界経済の中心であり続けることができたのです。

中国やインドなどが台頭するなか、未だ欧州中心の経済なのはなぜか?

現在、中国やインドをはじめとする新興国の経済力が高まり、ヨーロッパの経済力は以前に比べ衰えています。しかし国連などの国際機関や、国際的なビジネスの場においてヨーロッパの存在感は衰えません。それはなぜか? 

長い間、ヨーロッパが法や制度を含む国際秩序、世界を包括するインフラ設備を維持発展させてきたからです。新興国がいくら経済力を強め、自分たちに有利な秩序やルールの構築を試みるとしても、これまでの蓄積を無視するわけにはいかないのです。

私たちが普段当たり前に思っている働き方も、制度も、価値観も、基本的にはヨーロッパの歴史が下敷きになっています(日本独自の文脈も少なくありませんが)。「欧米から輸入しただけ」と無下にするわけにはいかないのです。

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