世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中国について、当局は感染の即時データをもっと公開するべきだとの見解を示した。
中国ではここ数週間、新型ウイルス政策の多くが停止された結果、感染が急拡大している。こうした中、中国当局は新型ウイルスに関するデータの公開を停止しており、1日当たりの実際の感染者数や死者数は不明だ。
WHOは今回、入院患者数や集中治療室(ICU)に入っている患者、死者数といったデータに加え、ワクチン接種についてのデータも必要だと指摘している。
中国での感染拡大を受け、すでにアメリカやインド、イタリア、日本、台湾などが中国からの渡航者に対し、陰性証明の提示などを義務付ける措置を取っている。また週末にかけ、新たにイギリス、フランス、スペイン、韓国、イスラエルも制限導入を発表した。
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WHOはこの日、中国高官との協議後に声明を発表。「WHOは、疫学的状況に関する具体的かつリアルタイムのデータ、特に感染リスクの高い人々や60歳以上の人々におけるワクチン接種の実施と接種状況に関するデータを定期的に共有するよう、再度要請した」と述べた。
また、これらの領域や、ワクチン忌避問題の解決に向けた支援を提供する用意があることを明らかにした。
その上で、「中国と国際社会が正確なリスク評価を行い、効果的な対応を行うためのモニタリングとデータのタイムリーな公開の重要性」を強調した。
WHOでCOVID-19の感染状況を監視している技術諮問グループは、来年3日にも会議を開く予定。この会議には中国の科学者らも招かれ、詳細なデータを提供するという。
WHOは一方で、中国からの渡航者に対して一部の国が新たな制限を課しているのは「理解できる」と述べた。
中国政府は11月まで、ゼロコロナ政策を推進。感染者が数名見つかっただけで厳しいロックダウンが敷かれ、感染者は政府施設での隔離が義務付けられていた。
しかし、各地で政府のゼロコロナ政策に対する抗議運動が起きたため、ロックダウンや隔離といった規制は緩和され、海外渡航も解禁された。
それ以降、中国国内では感染者が急増しており、政府は1日5000人の新規感染があるとしている。しかし実際には、1日の新規感染者は100万人近くに上るとみられている。
公式発表では、12月の新型ウイルスによる死者数は13人だが、イギリス拠点を置く保健データ企業「エアフィニティー」は29日、毎日9000人ほどがCOVID-19で亡くなっているとみられるとの見解を示している。
イギリスやフランスも渡航者に制限、EUは反対姿勢
イギリスの保健省は31日、中国からイングランドの空港への直行便の乗客に対し、来年1月5日から出発前の検査を義務付けると発表した。
同8日からは健康安全庁(UKHSA)も監視を開始し、中国からの渡航者の一部に検査サンプルの提出を要請するという。
スコットランドとウェールズ、北アイルランドには中国との直行便がないが、政府はイギリス全体でこの施策が守られるよう各地域と連携していくとしている。
フランスは今後、中国からの渡航者に、出発までの48時間以内に取得した陰性証明書の提示を求める。
一方、スペインのカロリーナ・ダリアス保健相は、「全国レベルでは空港で入国管理を行い、中国からの渡航者には陰性証明書の提示かワクチン接種完了を求める」と説明した。
スペインは、一部の中国製ワクチンを渡航に必要なワクチンとして承認としている。
両国とも、これらの措置の開始時期は明らかにしていない。
だがフランスの保健省と運輸省は、政令を発布するとともに欧州連合(EU)加盟各国にも内容を通知すると話した。
EUの欧州疾病予防管理センター(ECDC)は29日、欧州はCOVID-19への免疫レベルが高く、中国で流行中の変異型もすでに欧州に存在しているため、このような措置は正当化されないとの見解を示している。
ドイツやオーストリア、ポルトガルは新たなルールは設置しないとしている。
このほか韓国は、中国からの渡航者について、韓国への飛行機に乗る前にPCR検査か抗原検査での陰性証明を義務付ける。韓悳洙(ハン・ドクス)首相によると、到着1日目にもPCR検査を受ける必要があるという。
イスラエル当局は各国の航空会社に対し、陰性証明がない限り、中国からの渡航者を受け入れないよう要請した。また自国民には、不要な中国渡航を避けるよう呼びかけている。
からの記事と詳細 ( WHO「中国は新型コロナウイルスのデータ開示を」 各国は渡航制限へ - BBCニュース )
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