西麻布~羽田空港 菅家涼太を乗せて(後編)
港区を走るタクシーはどれくらいあるのか?
同じ瞬間、港区でタクシーを拾いたい客はどれくらいいるのか?
…そのどちらも、とてつもない数だろう。
もしかすると港区は、日本でもっともタクシーの“人口密度”が高いエリアかもしれないと、舞香は思う。
― だから私が涼太さんと再会できたのは、奇跡…。
ずっと待ち望んでいた奇跡だった。運命的な再会だった。しかしそれは、舞香が夢に見ていたかたちとは違った。
現実は厳しい。舞香は、羽田空港の出発ゲートにタクシーを寄せながら思う。
「とりあえず…結婚おめでとう」
舞香はタクシーの表示ランプを『回送』にしてから、4年も恋焦がれていた相手にそう告げた。
「ああ、ありがとう…」
涼太は、歯切れが悪い。
「驚いたでしょ?私がタクシードライバーになってたなんて」
「うん、びっくりしてる…。えっ?どうしてタクシードライバーになったの?」
いきなり、核心をついた質問だ。
「4年前、涼太さんに『港区でまた会おう』って言われたから。タクシードライバーになったら、いつか本当に再会できるかと思ったの」
「そんなこと言ったっけ?」と返されるかと思ったが、涼太の口から出た言葉は違った。
「ああ、そう言ったよね。覚えてるよ」
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